※弊社記事はたぶんにPRが含まれますので
話半分で受け取ってください。

昔に比べて暑くなっているのか調べてみた

 エアコンをつけろだのかけろだの昔より暑くなってるだのなんだのという話をよく耳にするようになったので、ほんとに暑くなっているのか、調べてみました。

 実は以前、平均気温の推移を調べてみたことがあるのですが、そのときは「まあ、上がってるけどそんなにいうほどの上昇か……?」という結論でした。

 が、どう考えてもここ数年は暑い気がする……!!
 というわけで、もう一回、やや視点を変えてデータをこねくり回してみることにしました。

使用したデータ

 使用したデータは東京における1950年から2017年の間の7,8月の最高気温のデータです。データは(前と同様)気象庁の出している過去の気象データ検索のものを元にしています。

そもそも「暑い」とはなんなのか

 こねくり回すにあたり、そもそも「暑い」とはなんなのかを考えました。我々はなにをもって暑いと感じているのか。
 改めて考えてみると、エアコンを回す基準として「30℃を越えたら……」となんとなく思ってるので、30℃がひとつの目安になりそうです。また、気象用語に「夏日」(30℃以上)、「真夏日」(35℃以上)、「猛暑日」(38℃以上)とあることから、「暑さ」を考えるときは一日の平均気温ではなく、一日の最高気温を調べると感覚と一致しそう。

最高気温の推移

 まずは手始めに最高気温の推移。各年の7、8月に記録された一日の最高気温の中で最も高い最高気温、つまり最高気温 of 最高気温をグラフにしたものです。

 90年以前の40年間では38℃を越えるのはマレでしたが、90年以降ではこの30年弱でぴょこぴょこと38℃線を越えてきてます。また、下も34℃以上になっており、全体に1℃くらいベースアップされている印象。まあでも「1℃かー」と言う感じ。体感的には2、3℃上がってるのだが……

 90年代に入ってから気温がベースアップしている傾向については前に書いた記事でもちらっと触れています。

ただ、グラフの後半を見ると1990年あたりからグラフ全体が上に1、2℃、シフトしているようにも見えます。そのため、長期的(過去100年)には1℃未満の上昇率でも、短期的(過去30年くらい)には、1、2℃平均気温が上昇しているように見えます。
おかあさんは「最近は昔よりも暑いから云々」言うけれど、本当に昔に比べて暑くなっているのか気になったので調べてみた / icoro

平均値の推移

 続いて各年の最高気温の平均値です。一応、中央値も調べてみましたが、平均値とだいたい同じ傾向だったので、平均値だけ見とけばいいだろうと判断しました。

 最高気温の推移と同様、全体としては右肩上がり。やはり、90年移行の気温の上がり方が顕著で、ちょいちょい平均32℃を越えるようになっています。

 一応、90年前後でトレンドをとってみました。青は90年以前の平均値、赤が90年以降の平均値。90年以前のデータだけでトレンドを取るとやや右肩下がりになります。
 実際、70年代以前には今とは逆に「地球寒冷化」などと言われていたこともありました。宮沢賢治の「グスコーブドリの伝記」はそのあたりの影響があると聞いたことがあります。

夏日・真夏日・猛暑日の割合

 各年7、8月を通して出現した夏日(30℃以上)、真夏日(35℃以上)、猛暑日(38℃以上)の割合をまとめたグラフです。簡単に言うと赤の割合が多いほど(灰色割合が少ないほど)30℃を越える日が多かった年ということになります。

2010年以降は夏日以上の日が多い

 ぱっと見でわかるのは90年以降の真夏日の増加。猛暑日もちらちらと出現するようになっています。また、2010年以降は毎年夏日(30℃)以上の日が6割を越えています。ここまで連続したことは1950年以降ではほかにありません(1950年以前は調べてないのでわからない)。

00年代は意外に普通

 夏日の日数だけで考えると、00年代は60年代、70年代とあまり変わらないことがわかります。言われてみれば、あの当時、冷夏だとかなんとか言ってたような……
 ですが、そのわりに猛暑日も出現していることから、どうも21世紀は20世紀末に比べて「暑い日はめっちゃ暑くなる」みたいな極端な気温の上がり方をしていることが予想されます。

80年代は全体に最高気温が低い

 グラフにしてわかったのですが、80年代は全体に最高気温が低いんですね。あの頃はやっぱり過ごしやすかったのか……
 ついでに、このグラフを見ると1980年、1993年、2003年は30度未満(灰色)の日が多く、冷夏であったことがわかります。平成の米騒動とはなんだったのか。

最高気温のグラフ

 実際、7、8月の最高気温はどう推移しているのか、気になって、適当な4年分の最高気温推移をプロットしたものが上のグラフです。
 割合を見てみるとここ数年は確かに夏日は増加しているのですが、こうしてプロットしてみるとそんなに大きな差が無いように見える不思議。
 でも、よく見ると7月前半の気温に20世紀と21世紀で大きなギャップがあることがわかります。なんなら2017年は前半暑かったけれどその後はわりと気温低い。もしかして、7月が暑くなってる?

 というわけで、各年代の最高気温をプロットしてみました。

 各年代の0年から9年までの10年分をまとめてプロットしたものです。

 これを見ると50年代から80年代までは7月から8月にかけてだんだん暑くなっていく傾向にあったのに対して、90年代以降は7月の頭からいきなり35℃台を記録することが増えているのがわかります。

7月が暑くなってる?

2018年7月のこれまでの最高気温の推移。天気予報的にはこれからまだしばらく晴れマークが並んでるのでなかなかの記録が出そうですぞ。

 というわけで、21世紀になってから7月が暑くなってるっぽいです。かつてはお盆の頃に暑さのピークが来ていましたが、ここ最近は7月中旬、場合によっては7月の頭にはもうピークが来て、そのままお盆までいっちゃう感じ。

 気温の上昇自体は、前に調べたときと同様、思ったほど大きな変化はないように思えます。たしかに90年代以降は平均気温が1℃くらい暑くはなっているのですが、それよりはどちらかというとこの夏日の長期化が「暑い」という印象に拍車をかけているような気がします。
 また、気象庁の観測地点の環境はおそらく50年代からずっと変わっていないのだと思いますが、我々が住んでいる環境はこの50年で土からコンクリートに変わっていたりします。土の上とコンクリの上では感じる暑さも当然変わってくるので、「昔のほうがずっと涼しかった気がする」というのはそのへんの影響もあるような気がします。

 まあでも結局のところ暑い日が続いてることには変わりないので、皆様、体調の管理に気を付けていきましょい。

おまけ

 今回、グラフを作るのに作ったGoogleシートを置いとくので使えたら使ってください。「ファイル」から「コピー」すると自分のgoogleドライブにコピーされて好きに編集できるようになります。
 ここでは東京のデータを使用しましたが、夏休みの自由研究で地元のデータを調べるのもおもしろいと思います。京都あたりはほぼ毎年猛暑日が出てくるのでビジュアル的にオススメです。

関連する記事