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エアコンを24時間つけっぱなしで本当に電気代が下がるのか調べてみた

エアコン

 ここ数年、夏になると「エアコンを24時間つけっぱなしにするようにしたら電気代が下がった」というまことしやかな話を耳にするようになりました。はたして本当にそれで電気代は下がるのか、調べてみました。

エアコン

 検証に使用した部屋は木造(たぶん壁と天井に断熱材入ってる)で広さは10畳くらい。エアコンは8〜12畳用のもので、設定温度は28℃にしました。

エアコン

 電力量の計測には簡易電力量計(ワットモニター)を使用しました。取説には「エアコンやオイルヒーターには使用しないでください」と書いてありましたが、ずっとつけっぱにするわけじゃないしイケルイケル。そんなわけで数字は参考程度に捉えてください。
 なお、ここでは電力量料金は1kWhあたり25円で計算しています。

電力量のグラフ

 それではさっそく計測した電力量のデータです。まずは12:00から20:30までエアコンを稼働したときの電力量のグラフです。
 12:00にエアコンを稼働したときの室温は31.1℃。1時間後の13:00に室温は28℃になり、そのあともずっと28℃前後で安定していました。全体で消費した電力量は1.81kWhで、金額に換算すると45円ほどでした。

 続いて30分ごとの電力量の推移をグラフにしたもの。最初の1時間で一気に電力を消費して、そのあとは外気温の低下にあわせてゆっくりと下がっています。

 日中は1時間あたり0.3kWh(7.5円)くらい、日没後(19:00以降)に至ってはほとんどエアコンが止まった状態になり、1時間あたり0.05kWh(1.25円)くらいで推移していました。

24時間稼働した場合との比較

 比較のため、そのまま24時間エアコンを回したままにしてみました。なお、24時間つけっぱなしにした場合の電力量は5kWh(125円)程度でした。

 青い線が12:00にエアコンをつけた場合の30分ごとの電力量の推移。赤い線が前日からずっとエアコンをつけっぱなしにした場合の30分ごとの電力量の推移です。外気温は両方とも同じくらいでした。

 このグラフから電力を多く消費するのはやはり起動後1時間であることがわかります。12:00から13:00までの間の電力量の差は0.28kWh。ざっくり言うとエアコンを起動してから1時間は通常時の2時間分の電力量を消費するということです。

断熱材の有無

 おまけ。これは別の部屋でエアコンを使用したときの電力量の推移です。計測をスタートした時間が9:00からとちょっと早いのでビミョーなところですが(暑くて12:00までエアコン我慢できなかった)、上の部屋の電力量の推移よりも直線に近いグラフを描いています。とくに12:00から18:00までの間。

 この部屋は壁に断熱材が入っておらず(古民家的な砂壁の和室)、また、ふすまや障子などの隙間も多いことから冷気が外に漏れてあまり保温が効かず、結果として消費電力量が増えているのだと思われます。

わかったこと

 というわけで、今回わかったことは以下のような感じです。

1. 24時間つけっぱなしで安くなるのはレアケース

 この結果を見る限り、かなり特殊な条件でないと24時間エアコンつけっぱなしで電気代が安くなることはないんじゃないかと思います。日中1時間おきに部屋を空けることがあり、そのたびにエアコンをつけたり消したりしている、とか……

 日中仕事で家を空ける人は普通にエアコンを消したほうが(24時間つけっぱなしにするより)電気代は安くなると思います。
 一方、1時間程度の外出であればエアコンをつけっぱなしにしておいたほうが電気代が安く済む可能性が高いです。

2. 温度も大事だけど湿度もね

エアコン
 同じ27.5℃でも湿度60%を越えると蒸し暑く感じる。

 日中エアコンが動いている状態での室温28℃はかなり涼しく感じるのに、夜間エアコンがほとんど動いていない状態での室温28℃は蒸し暑く感じました。

 この原因はおそらく湿度にあるのではないかと思われます。日中の湿度は50%台であったのに対して、夜間の湿度は60%台でした。
 夜になると外気温のほうが低くなり(うちのあたりは26℃くらいまで下がる)、あまりエアコンが動かなくても室温28℃以下をキープできるようになります。しかし、人が放出する水蒸気によって湿度は上がっていく。エアコンは気温しか見ていないので、湿度がいくらあがっても動くことはありません。その結果、同じ室温でも夜のほうが蒸し暑く感じるようになってしまいます。これは除湿(ドライ)運転でも同じです。

 この問題はエアコンの設定温度を外気温以下にすれば回避できます。(設定温度を下げたぶん、余計に電力はかかりますが。)
 また、最近のエアコンは温度設定だけではなく湿度設定もできるものがあるので(白くまくんの「カラッと除湿」とか)、より快適さを求めるのであればそういったエアコンに替えるのも手です。そうでなければ除湿機とエアコンを併用するという荒技も……!

3. 断熱は惜しみなく

天井裏の断熱材

 壁や天井に断熱材がしっかり入っているか否かでエアコンの消費電力量は変わってきます。断熱は惜しみなくしたほうが夏も冬も快適になり、消費電力量も低く抑えられることでしょう。
 また、窓などの開口部は熱が入りやすい(逃げやすい)ので、窓によしずを立てかけて日差しを遮る、シャッターを閉める、カーテンで日差しを遮るといった方法も有効だと思われます。部屋の出入りの際、ドアの開閉は最小限に。開けっぱなしなど論外です。

1日200円の掛け捨て医療保険、的な

 まあ、そんなウマい話はないということで。エアコンつけっぱで1万円くらい安くなってたって人もちらっと見かけましたが、普段なにしてる人なんですかね……

 ところで、エアコンは電気代めっちゃ食うというイメージがあって「使わずに済むならそれにこしたことはない」と思ってしまいがちです。しかし、今回調べた結果では24時間つけっぱなしでも電気代は1日あたり200円くらいでした。
 熱中症で入院すると新しいエアコンが買えるくらいの費用がかかることを考えたら、エアコンのコスパめっちゃ高いぞ。1日200円の掛け捨て医療保険的なものだと思って、用法・容量を守って正しくエアコンを利用していきましょう。

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