仕事あがりにこういうのが観れるなんて良い町じゃないか古町は
箸がころげても笑える年頃ってのは存在します。
深夜の吉野家で実験をしたことのある私が言うのですから、間違いはありません。
たいして時間は経っていないようにも思えますが、それでもほんの何年か前まではもう少しゆったりと時間が流れていたように思います。当時の吉野家は、注文してから牛丼が出てくるまで、今ほど早くはありませんでした。
牛丼を注文する。
夜明け前の吉野家で、牛丼が出てくるまで私たちの手によって机の上で転がされる割り箸。
そこには確かに箸がころげても笑える私たちがいました。
「うっっひゃっひゃっひゃっひゃ~箸が転がってるよぉ~~ひゃ~」
当たり前のようではありますが、実際に箸がころげただけで笑うのは、かなり難易度の高い行為ではあります。その日は、仲間内で集まって徹夜で麻雀大会。こたつに毛布をひいてつくった即席の麻雀卓を囲み、お酒を飲みながらの徹夜麻雀です。麻雀の勝ち負けはさほど重要ではなく、そこには笑いがあったのです。
劇団ハンニャーズの公演に行ってきました。
会場には、そんな光景を思い出すような笑いがありました。
漫才よりもコントというのは、難しいのではないかと思います。受け取る情報量が圧倒的に漫才よりも多く、私のような注意力散漫な人間は、コントを観ながらその細かいところが気になってしまうのです。本筋にのめり込むことなく散漫した注意力はやがて緊張感をなくし、コント自体への興味を失ってしまう。
テレビ番組でもコントが大量生産され、お笑いのプロと呼ばれる人達によって作りこまれたコントを沢山見せられます。
でも、そんな作りこまれたコントよりも 箸がころげたほうが笑えることもあるのです。
徹夜の麻雀大会。少しおかしな人間の意識が、徹夜の麻雀によってさらにおかしな境地にたどり着き、口々におかしなことを話し始める。配牌から展開される序盤の無言を埋めるべく、繰り出される狂った単語。そこには作りこまれたコントよりも面白い、確かな笑いがありました。
・・・麻雀の例えがわかりづらかったら、仲間内でコタツを囲んで鍋パーティーしている風景で置き換えてください。
緊張感と笑いが途切れることなく、あっという間の1時間。
芝居ががっているのだけども、日常のようでもある。会話劇でありつつも、出来の良いアニメーションを観ているようでもある。そんな1時間でした。
幕前から客は知らず知らずのうちに、芝居の世界に立たされているのです。
演出がいいのでしょう。
コント間の暗転では、効果音や演者さんの動きが観ている側に緊張感を与え、シンプル過ぎる道具はうまく配置や角度を変えることでどんどん違う世界を産み出していきます。
緩急や余白の入れ方なんかでもっと良くなりそうな気がするところも、次の公演も観てみたいなという気分にさせ、楽しみを残してくれます。つか、初日と最終日の公演観ても結構変わるんじゃないかなとか思う。
会場は押入れみたいに狭い。狭すぎるし、人の家にあがりこんだみたいだし、ビビる。
その狭い小屋の一階は、美味しいうどん屋さん。
「今日のうどん」と書かれたトマト味の煮込みうどんのセットを食べました。初めて入った店だからって、定番品を食うとは決めてません。食いたいものを食う。
平日のチケットはまだ余裕があるようです。
仕事あがりにこういうのが観れるなんて良い町じゃないか古町は。
劇団ハンニャ-ズ番外公演「くちばしで鳴らすレコード」
開催日時 | 2011年12月12日(月) 20:00~ 2011年12月13日(火) 20:00~ 2011年12月14日(水) 20:00~ 2011年12月15日(木) 20:00~ 2011年12月16日(金) 20:00~ 2011年12月17日(土) 14:00~/20:00~ 2011年12月18日(日) 14:00~ |
---|---|
場所 | ちず屋の2階 (新潟市中央区古町通5番町587-4) |
料金 | 前売り1000円 / 当日1200円 *各回限定20席。当日券が出ない場合もあります。 |
予約 | 11月9日開始 |
作・演出 | 中嶋かねまさ |
出演 | 近藤聡実 / 村井孝昭 / 横山泰之 / 小出佳代子 / 山田好宏 / 中嶋かねまさ *内容と出演者は日替わりです |
詳細 | 詳細やチケットの予約は、劇団ハンニャ-ズWebサイトまで |
ちず屋の2階
所在地 | 新潟市中央区古町通5番町587-4 |
---|---|
営業時間 | 昼11:30~夕7:00(水曜 定休) |