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「あいびす」を追え!フィリピンに売却された佐渡汽船の船を探し出してみた

佐渡赤泊の旅2008

 本土と佐渡島をつなぐ船として寺泊 – 赤泊航路に就航していた「佐渡汽船」の高速船「あいびす」。2019年に航路廃止、船は海外に売却されました。何回か乗った懐かしい船、いまもどこかで活躍しているはず……もしかして、Google Earthとかで探し出せるんじゃ!? と思い立ち、がんばって探してみました! えー、スタッフ、みつけました。

「あいびす」を追え!

佐渡汽船での活躍

高速船あいびす佐渡日帰りパック2018

 2005年夏から寺泊 – 赤泊航路(新潟県長岡市の寺泊港 – 佐渡市の赤泊港)に就航、本土と佐渡を65分で結ぶ高速船として活躍していた「あいびす」。しかし揺れが大きい、欠航率が高いなどの問題があり、終盤は冬期間は運休。2年ほど撤退・継続の間で揺れていましたが2019年5月、ついに廃止となりました。

佐渡赤泊の旅2008

 就航期間は短い印象がありましたが、それでも13年くらい就航していたのですね。自分は3回ほど乗船。そんなわけで結構思い入れのある船なのです。揺れはともかく、1時間程度で気軽に佐渡に行けるのでなかなか便利でした。船内の様子や乗り心地などは以下をお読みいただければと思います。

航路廃止と売却

佐渡汽船は2019年8月30日(金)、同社が保有する高速船「あいびす」をフィリピンの船会社に売却することを決定した。
売却される「あいびす」は、2019年4月まで寺泊/赤泊航路に就航していた高速船。5月1日(水)付けで寺泊/赤泊航路を廃止したとこから、同社はこれまで船舶の売却先を検討してきた。今回、譲渡先候補との交渉がまとまったことから8月30日(金)開催の取締役会において譲渡することが決議された。

佐渡汽船、高速船「あいびす」をフィリピンのフェリー会社に売却 | フネコ – Funeco

 2018年10月からすでに運休期間に入っていたのですが、正式に航路が廃止されたのは2019年5月。「今年の夏はもう『あいびす』は動いてないのかー」と思っているうちに売却先が決まったというニュースを聞き、売却の話は早く進むものだなぁと思った覚えがあります。

売却先は、フィリピンの船会社「アティエンザ・インターアイランド・フェリーズ」。譲渡価額は72万米ドル、日本円で約7,667万2千円で、譲渡益は約2,650万2千円。佐渡汽船は、2019年12月期の決算において、連結・個別ともに固定資産売却益として譲渡益額を特別利益に計上する予定。

佐渡汽船、高速船「あいびす」をフィリピンのフェリー会社に売却 | フネコ – Funeco

 売却先はフィリピンの会社。自分が乗った「あいびす」が海外で活躍しているのって不思議。てか見てみたい。あ、ネットで探せるんじゃ!? と思ったので探してみることにしたのであります!

調査開始!

 まずは売却先の会社の特定から。ニュースによるとフィリピンの船会社「アティエンザ・インターアイランド・フェリーズ」に売却したとのこと。カタカナ表記になっていましたが、英語表記だと「Atienza Interisland Ferries Inc」という会社名だと突き止めました(突き止めるというほどでもない)。

アティエンザ社のFacebookを確認

 「Atienza Interisland Ferries Inc」のFacebookページを発見。会社のメインページとフェリー情報(バタンガス – プエルトガレラ航路)のページがあるようです。注目すべきはフェリー情報のページ。

Atienza Interisland Ferries Inc – Batangas and Puerto Galera – ホーム

 カバー写真があいびすぅー! これだけでもうテンションあがる!!

 そして過去の投稿をさかのぼると2019年2月4日の投稿に「The Philippine Ship Spotters Society – PSSS」へのリンクが。「The Philippine Ship Spotters Society」は船の情報を上げている非営利団体の模様です。

SHIP UPDATE | M/V November Cattleya of Atienza Interisland Ferries Inc. Here’s a photo on one of the newest acquisition…

The Philippine Ship Spotters Society – PSSSさんの投稿 2020年2月4日火曜日

 ここにもあいびすぅー! わかりやすい写真でありがたい!

 じっくり見ると赤い部分に描かれていた佐渡汽船のマークが塗りつぶされているのがわかります。そして船尾には「November Cattleya」「ULAANBAATAR」の文字が。「あいびす」の新しい名前は「November Cattleya(ノーベンバーカトレア)」! そして……モンゴル船籍?

ちょっと寄り道:長崎港にいたらしい

 「あいびす」を追い、「November Cattleya」という新しい名前がわかった時点でいろいろ検索。すると長崎港に出入りする船を紹介しているブログに「あいびす(この時はすでにNovember Cattleya)」の姿が! 2019年11月は長崎港にいたようです。写真等は是非ブログ 新長崎遠めがね を訪問してご覧ください。

今日久しぶりに ダイヤランドへ行きました
香焼ドック方面を見ていると 手前の小ヶ倉・柳埠頭に
旅客船らしい 初めて見る船が接岸していました
帰宅して船名を確認すると「NOVEMBER CATTLEYA」でした

新長崎遠めがね : 柳埠頭に「NOVEMBER CATTLEYA」

佐渡汽船のツイッターによると
11月15日に佐渡を離れて「フィリピンへ向かった」となっていました
長崎で 船名と船籍の書き換え等が 行われたようです

新長崎遠めがね : 2019年11月

 「あいびす」は長崎を経由してフィリピンへ向かったようです。貴重な情報、ありがとうございます!

「November Cattleya」という名前について

 朱鷺にちなんだ「あいびす」がなぜ「November Cattleya」に? という疑問。アティエンザ社が所有している船の名前を調べてみたところ

  • JUNE ASTER
  • APRIL ROSE
  • MAY LILLIES

 という感じで「〇月+花の名前」で名付けているようでした。他の船と名前を揃えただけで、特に深い意味はなさそうです。

というわけで、フィリピンで旧あいびすを探してみる

 売却先の会社所在地がわかれば、たぶん港はその近く。ストリートビューもしくはGoogle Earthで旧あいびすを探せるのではないかという淡い期待、まだデータが更新されていないのではないかという不安……そんな気持ちを抱きながら、地道な作業に入ります。

佐渡赤泊の旅2008

 あいびすの特徴は横の赤い線。上から見ると白っぽい? 真上が映ってる写真が欲しい……

 と思ったら。Google Earthでまだ寺泊港に停まっているときの様子を確認することができました。上から見るとほぼ真っ白。甲板のライン(通路?)や船の後部にある4つの四角が特徴的です。

※更新されると見えなくなる場合があります。

 まずは会社の所在地および近くの港をチェック。Facebookの運航情報にあった「Batangas Port」(バタンガス港)発見!

 船がたくさんあるので期待大。旧あいびすの全長は47.08m。ざっくり50mくらいの白っぽい船を探す作業です。

 バタンガス港周辺ではそれっぽい船はみつからず……しかしアティエンザ社の運航情報には「Batangas Port(バタンガス港)」のほか「Balatero Port(バラテロ港)」「Balatero – White Beach(バラテロ – ホワイトビーチ)」等々の文字があったので、その地域まで捜索範囲を広げることにしました。

 バタンガス湾を南下したところに「バラテロ」という地名を発見! ここはミンドロ島というのか!(ズームして見ているので自分がどこにいるかわかっていない)あ、プエルトガレラもある!

 バラテロス湾やサバン・ビーチ等々、周辺の港近くを見ていると……

 白っぽい船を発見。窓の形や甲板のライン、4つ並んだ四角……

 ついに発見! 「あいびす」はいまー! フィリピンのプエルトガレラ近くの「Batangas Channel(バタンガス・チャンネル、バタンガス海峡)」にいまーす!!

 航行してそうな地域をしぼってから二晩。諦めなくてよかった。

※更新されると見えなくなる場合があります。

そんな感じ

佐渡赤泊の旅2008

 船体に書かれていた「あいびす」の文字と佐渡汽船のマークは消され、「ノーベンバーカトレア」として新しく生まれ変わった「あいびす」ですが、きっと今も船内のシートには佐渡の模様とSADO KISENの文字があるのではないかと思われます。なんかこう、すごくわくわくしますね。こういうの、大好きです。

 そんな感じで日本海から南国へ行った「あいびす」。新天地での活躍をふるさと新潟からひそかに応援したいと思います。フィリピンのバタンガス港やバラテロ港、プエルトガレラに行った際には是非探してみて下さい。プエルトガレラはダイビングで人気の観光地らしいです。日本人も結構行くのかも? てか、いつか乗りに行ってみたいぞ!

参考

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