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とある博物館の売店の営業は無事に終了しました。

ほろ苦い味が特徴の郷土料理、メダカを佃煮にした「うるめの田舎煮」

 メダカを食べる、なんて聞くとびっくりしてしまいますが、30年ほど前までメダカを食べる風習が新潟県の中越地方にはあったそうです。この風習は現在でも見附市などのごく一部の地域に残っています。

 数年前からメダカを佃煮風にしたものが特産品、また高級田舎料理として売り出されています。昔食べていた人が懐かしんで買いに来ることも多いとか。お酒にもあう、ほろ苦さが特徴の大人の味です。

うるめの田舎煮

 メダカは「うるめ」とも呼ばれます。メダカを食料として捉える時はうるめと呼んでいたようです。

 新潟県中越地方にはかつてメダカを食べる習慣がありましたが、今では見附市などのごく一部の地域のみに残っているのみ。昔は雪が降る前の11月頃にメダカを取り、各家庭で佃煮にして冬場のたんぱく源や保存食としていました。また、長岡の一部地域や小千谷では夏場にうるめを味噌汁に入れて食べていたとのこと。
 暖かくなってくると稲に害虫のウンカが発生し、これを食べるメダカは苦くなってしまいます。このため冬から春にかけてのほんの一時期にとれる、ほどよい苦さのあるメダカは春の味として親しまれていました。

 うるめの佃煮はメダカを醤油で煮付けるだけの一見簡単な料理です。ですが身が脆く煮くずれしやすいため、形を崩さずに尾をピンとして作るのは難しかったり、活きが良くないと口が開いて煮えないなど、その作り方は簡単でも奥は深い料理でもあります。
 また「一人前20匹」、「尾を持って食べる」といったうるめを食べる作法もあり、酒を片手にしての「うるめ談義」はつきることがないとか。

うるめの田舎煮

 絶滅の危機に瀕しているといわれるメダカ。昔と違い、田んぼや小川にメダカはいなくなってしまったので、料理用に山間部のため池で養殖したメダカを使っているそうです。養殖され食用にされているのは、絶滅危惧種の黒メダカではなく、緋メダカと呼ばれる種類。

うるめの田舎煮

 以上のように30年ほど前までは普通に家庭で食べられていたうるめの佃煮ですが、田んぼに群れをなして泳ぐメダカの姿が見られなくなってしまった現在では、家庭でうるめの佃煮が作られることはほとんどなくなってしまいました。

 そんな中、見附市にある水富屋酒店さんが「うるめの田舎煮」という名前でこの料理を復活させました。コイの養殖に使われていた堤を使ってメダカの養殖を行っています。メダカはひとつの堤の中では一定数以上増えない、病気にかかると堤のすべてのメダカが使えなくなってしまうなど、養殖には大変な手間がかかっています。病気は薬を使用すれば直すことが出来ますが、薬を使用したメダカは、やはり食用として使えなくなってしまいます。
 「うるめの田舎煮」は1瓶(55g)1,890円と価格は高めですが、養殖の手間などを考えると、決して高すぎる価格ではなさそうです。

うるめの田舎煮

 かつて家庭でうるめを作って食べていた人たちが、懐かしいこの味を求めて、水富屋さんに訪れているそうです。

お問い合せ先

水富屋酒店

所在地新潟県見附市本町2-3-26
TEL0258-62-0023
FAX0258-63-2034

参考

  • 佐藤国雄. “メダカ”. 食は越後にあり 新潟のおいしい風景. 恒文社, 2000, p124-125. (ISBN4-7704-1015-8)
  • 「日本の食生活全集 新潟」編集委員会. “四季の食生活 2春ーごみ入れからさなぶりまで”. 聞き書 新潟の食事. 農山漁村文化協会, 1985, p21-22. (ISBN4-540-85025-3)

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