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無償版G Suiteから「さくらのメールボックス」に移行した

 無償版G Suite(旧Google Apps)が今年の7月で終了するとのことだったので、メールサーバを「さくらのメールボックス」にお引っ越ししました。

 価格によってはそのままGoogle Workspaceに課金することもやぶさかではなかったのですが、680円/月・ユーザは独自ドメン対応Gmailとしてしか使ってない身としてはちょっと高い……。
 というわけでさくらインターネットの「さくらのメールボックス」に引っ越すことにしました。容量10GB(ただし1アカウントに最大2GBまでしか割り当てられないという謎の制限がある)で1,048円/年です。安い。

 同様のサービスだとムームードメインの「ムームーメール」もあります。こちらは容量30GBで1,320円/年。さくらのそれより見た目がモダン! Gmailと同じようにサブメールアドレス(メルアドに「+」を追加してエイリアスを作れる)も使用できます。ただし、ムームーメールはムームードメインで管理しているドメインでしか使えません。

 いずれも一長一短ですが、まあ、安いし、そこは割り切って使う感じで。また、「10GBじゃ全然足りねーよぅ!」という場合は素直にGoogle Workspaceに課金したほうが安上がりかもしれません。
 うちの場合、不要なメールは逐次削除&ファイルの添付が必要な場合はメールに添付せずドロップボックスなどを利用するようにして容量を圧迫しないようにしていたので、一番容量が大きいアカウントでも500MBくらいでした。最近はLINEなどのメッセージツールの台頭によりどんどんメールを使わなくなっているので、2GBあればあと半世紀は保ちそう。

 というわけで、メールの引っ越し作業をしていきます。

1. さくらのコントロールパネルでの作業

1.1. ドメインの設定

 さくらインターネット側のドメイン設定をします。コントロールパネルを開き、メニューの「ドメイン/SSL」>「ドメイン/SSL」で、「ドメイン新規追加」で利用するドメインを追加します。

1.2. ユーザの設定

 メニューの「メール」>「メールアドレス一覧」を開き、G Suiteで使っていたのと同じユーザ名のメールアドレスを作成します。

2. DNSの設定

 DNSでMXレコードを設定します。[subdomain.sakura.ne.jp] はメールボックスの初期ドメインです。

ホスト名(サブドメイン)空欄
TYPE(種類)MX
VALUE(内容)[subdomain.sakura.ne.jp]
優先10

 spfの設定は以下の通り。[www1234.sakura.ne.jp]はサーバコントロールパネルの「サーバ情報」>「サーバ情報」にあるホスト名を入力します。

ホスト名(サブドメイン)空欄
TYPE(種類)TXT
VALUE(内容)v=spf1 a:[www1234.sakura.ne.jp] mx ~all
優先空欄

以下のようにホスト名のかわりにIPアドレスを指定しても大丈夫です。[192.168.0.1]は「サーバ情報」にあるIPアドレス(IPv4)の値を入力します。

VALUE(内容)v=spf1 ip4:[192.168.0.1] mx ~all

3. メールボックスの設定(IMAPで使う場合)

 メールボックスのディレクトリは以下のように割り当てました。

  • 下書き:Draft
  • 送信済み:Sent
  • 迷惑メール:Junk または Spam
  • ゴミ箱:Trash
  • アーカイブ:Archive

3.1. 迷惑メールのディレクトリについて

 迷惑メールが放り込まれるディレクトリは

  • さくらのメールボックスは「Spam」固定
  • スマホのGmailアプリは「Junk」固定

というふうになっています。このため、両方を併用すると迷惑メールが「Junk」と「Spam」の両方のディレクトリに分散することになります。

 分散することが気にならないのであれば、そのまま使っても大丈夫です。
 Gmailアプリを利用しないのであれば、迷惑メールを「Spam」ディレクトリに統一すればOKです。
 問題はGmailアプリを使う&分散するのが気になっちゃう場合。この場合はさくら側の設定で迷惑メールフィルタを「フィルタの利用」もしくは「利用しない」にします。

 これで迷惑メールを「Junk」に集中させることができます。仕組み上「Spam」ディレクトリは残ってしまいますが、あきらめてください。見なければ存在しないも同じ。

3.2. X-Spam-Flagの利用

 迷惑メールフィルタで「フィルタの利用」を選択した場合、迷惑メール判定されたメールのヘッダに X-Spam-Flag: YES が追加されます。この場合、迷惑メールフォルダに自動で振り分けてくれないので、メールソフト側でルールの設定をする必要があります。

3.2.1. Apple Mailでの設定

 とりあえず自分が使っている Apple Mail の設定だけ記録しておきます。ほかのソフトもだいたい似たような感じで設定できる、と思う……。

 メニューバーの「メール」から「環境設定…」を開きます。続いて「ルール」タブを開き、「ルールを追加」ボタンをクリックするとルールの設定画面が表示されます。

 ルールの設定画面。

 条件のセレクトボックス(上の画像で「差出人」となっているところ)を開き、リストの一番下にある「ヘッダリストを編集…」を選択します。

「+」ボタンをクリックして項目を追加し、「X-Spam-Flag」と入力します。入力したら「OK」で閉じます。

 ルール設定画面に戻るので、
条件を「X-Spam-Flag」「が次を含む」「YES」に
実行内容を「メッセージを移動」「すべての迷惑メール」に
それぞれ設定します。

 カラー設定はこのルールで振り分けられたメールを判別しやすくするために個人的に追加したものです。必須ではありません。

 以上で設定完了です。以降、 X-Spam-Flag: YES の付いたメールが自動で迷惑メールフォルダに振り分けられるようになります。

4. メールデータの移行

 メールデータを含むGoogleアカウントのデータは「Google データ エクスポート」からダウンロードできます。

 ダウンロードしたメールデータをメールソフトに読み込んで、新たに設定したメールアカウントの受信箱にコピーすれば移行完了。

 というのが正攻法ですが、IMAPを利用している場合、メールソフトを使ってメールデータを直接ドラッグ&ドロップで移動してしまう方法もあります。
 やり方は簡単。最初にメールソフトにGmail側のアカウントとさくら側のアカウントを両方設定します。あとはGmail側の「アーカイブ」フォルダに入っているメールをさくら側の「受信」フォルダにドラッグ&ドロップするだけです。

Gmail側アカウント(gmail – info@icoro.com)の「アーカイブ」フォルダに入っているメールをさくら側アカウント(info@icoro.com)の「受信」フォルダにドラッグ&ドロップするだけ。

 Googleのエクスポートはダウンロードできるようになるまでにまあまあ時間がかかるので、メールの数が少ない場合(数千通程度)はこちらの方法のほうが簡単なうえに圧倒的に早いです。

約15年間ありがとうございました

 保存されていた最古のメールは2008年9月のものでした。あの頃はみんな若かった。

 G Suite無償版の終了を受けて各社から乗り換えキャンペーンが発生しそうな気がしている。でもまあ、大した値段じゃないし、と思って移行しちゃいました。ちょいちょいGmailのほうが使いやすかったな、と感じることはありますが、まあ、気にしなければ気にならないレベルです。さっきも言ったように後発のメッセージツールの台頭によりメールを利用する頻度も下がっているので、このままでもあまり不便はないかもとも思っていたりします。

参考

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