新潟県立歴史博物館で1月21日(土)から3月20日(月・祝)まで開催される冬の企画展「すてきな布 -アンギン研究の100年-」の内覧会に行って参りました。
まずは恒例のテープカッターズのご紹介。左から
- 新潟県立歴史博物館 館長 矢澤健一
- 新潟日報社 長岡支社長 渡辺雅明
- 新潟県 副知事 北窓隆子
- 新潟県民俗学会 会長 佐藤和彦
- 研究協力者 廣田幸子
- 十日町市博物館 館長 佐野誠市
- NST 取締役放送企画本部長事業担当 古塩充
- 新潟県立歴史博物館友の会 会長 鈴木重壱 (以上、敬称略)
となっております。今回はテープカッターズの人数多め。
どうでもいいですが、最近、たまに開場式の司会をアナウンサーがやることがあります。NSTの協賛が入るとアナウンサーが登場するっぽい? 萌奈かわいいよ萌奈(*’д`*)ハアハア
はい、カットー。
ただのボロ布ではないアンギン
「アンギン」とはアオソ、アカソ、イラクサなどの植物の繊維を材料にした布(およびその布で作られた衣料品など)のことを言います。寒くて木綿が育たない雪国では貴重な繊維だ。
「アンギン」という名前は、たぶん「温故の栞」という本に乗っている甚句歌にある「あんきん」に由来しており、「あんきん」は「編み衣(あみぎぬ)」がなまったものかな、と思っているですが、内覧会で見た限りではとくに名前の由来について言及するものはなかったので、これは個人的な予想です。
企画展では小林存によるアンギンの再発見にはじまり、実際に収集されたさまざなアンギンの展示やアンギンに使われていた繊維の製法を再現する活動などが紹介されています。
ちなみに「存」と書いて「ながろう」と読むのですが、親しみを込めて「ぞん」さんと呼んでる人も多く、本人も「どっちでもええがな」というふうだった模様。
アンギンに使われていたアカソの繊維精製法は失われており、それを再現する取組が実際に精製してできた繊維とともに紹介されています。これらの展示は触ることもできます。木綿より固いけれど、ワラより柔らかい感触。
で、アンギンってなに
アンギンを発見した小林存の喜びようだとか、実際に発見・収集されたアンギンの展示はいいのですが、そもそもの「『アンギン』とはなんなのか」「なにがすごいのか」「『アンギン』という名詞はどこから出てきたのか」という極基本的な解説が乏しいため、「アンギン」というものを知らない人は終始「で、『アンギン』ってなに?」という疑問を浮かべたまま展示を見ることになります。
たとえば、アンギンによる編み物を論拠に「『織り衣』より『編み衣』が古い」と小林存は主張していたようですが、それに関する論争が論争の体をなしていなかった、という尻ぎれ状態になってますし、そもそも縦糸と横糸を組み合わせて作られるアンギンって「編物」じゃなくて「織物」じゃないの? と思いつつ、ふと講演会情報を見たら
アンギンはこれまで「編物」として理解されてきましたが、タテ捩り織物組織の「織物」として位置づけられています。
とか書いてあるし(つか、今までなにを根拠に編物に分類してたんだろうか)、縄文土器の底に付いてる模様がアンギンのそれと似ていることから「縄文の布」などと言われているようですが、アンギンが縄文時代から脈々と伝わっているものであるという証拠もないみたいですし、感情的な部分が先立ってしまって、基礎的な部分がおざなりになってしまってるような印象を受けました。
そんなグズグズ感もありますが、アンギンの研究を通して、アンギンと越後上布や縮との関係が明らかになってきているという報告もあり、これはおもしろいと思いました。ただ、こちらはまだ調査が続けられている段階のようで、展示も最後の最後にちらっとまとめてあるだけです。次回があるとしたらこのへんの報告が上がってくるとおもしろいと思います。