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とある博物館の売店の営業は無事に終了しました。

シルバーアクセサリの黒ずみを化学的に落とす方法

シルバーの黒ずみ落とし

 ずっと身につけてると黒くなってくるシルバーアクセサリ。その黒ずみを化学の力で除去しちゃいます!

シルバーの黒ずみ落とし
最初の頃こそシルバー磨きとか使ってましたが、ここ数年はノーメンテナンス……

 こちらがすっかり黒ずんだシルバー。とくにリングの内側がヤバイ。
 この洗っても落ちないシルバーの黒ずみの原因は硫化銀です。空気中に存在する硫化水素などの硫黄成分が銀と反応することで黒くなってしまうわけです。硫黄泉の温泉にシルバーを突っ込んで真っ黒になった経験がある方は、実際のところそれほど多くはないと思いますが(関根は月岡温泉でやりましたが)、黒くなる原因としてはそれもこれも同じです。

 この硫化銀を銀に還元するには、イオン化傾向を利用すればおk。銀よりもイオン化傾向が大きい物質と一緒に煮たり焼いたりすれば硫化銀は銀になるはず。
 では、銀よりもイオン化傾向が大きく、手に入れやすい物質はなにか。それはアルミニウムだ!

参考:貸(K)そうか(Ca)な(Na)、ま(Mg)あ(Al)当(Zn)て(Fe)に(Ni)すん(Sn)な(Pb)ひ(H)ど(Cu)す(Hg)ぎ(Ag)る借(Pt)金(Au)

道具と材料

シルバーの黒ずみ落とし

 使用する道具と材料は、アルミホイルと食塩、あとは熱湯だけです。
 今回はアルミホイルの代わりにアルミ鍋を使用しました。食塩は電子が動きやすくするためだけのものなので量は適当です。重曹でもいけます。

方法

シルバーの黒ずみ落とし

 器にアルミホイルと塩を入れ、そこに熱湯を注ぎます。(ここではアルミ鍋に塩と熱湯を入れています。)

シルバーの黒ずみ落とし

 そこにシルバーを投入します。

シルバーの黒ずみ落とし

 しばらく放置します。見てるとシュワシュワとアワが発生したりします。これは酸化還元反応で生じたH2S(硫化水素)です。たぶん。反応式としては以下のような感じ。

3Ag2S + 2Al → 6Ag + Al2S3
Al2S3 + 6H2O → 2Al(OH)3 + H2S

 銀から硫黄を奪って出来た硫化アルミニウムはソッコー加水分解されて水酸化アルミニウムになり、その際に硫化水素が発生します。硫化水素は有毒ですが、この程度、大して問題ありません。

結果

シルバーの黒ずみ落とし
処理前
シルバーの黒ずみ落とし
処理後

 処理前と処理後を比べてみると「まあまあ、黒ずみが薄くなったかなぁ」という感じです。石油ストーブの上に置いてしばらく煮てみたりもしたのですが、ここまでハードに黒ずんでるとこの辺りが限界ですかねぇ。さすがに年単位のノーメンテにより硫化が深くなっていたのか、一部銀がボロっと剥がれ落ちたりも。

日頃からのお手入れが重要

シルバーの黒ずみ落とし
コンパウンドで磨いた。

 コンパウンドで磨くとピカピカになりますが、あれって結局、黒くなった部分を削ってるんですよね。その点、この酸化還元反応を利用した化学処理ならば銀が減ることはありません!(理論上)

 汗やら熱やらハードな環境に置かれるアクセサリー類は月一回くらい処理してあげるとかがやきをキープできると思います。シルバー磨きやコンパウンドを使う場合も、その前に化学処理すれば、削られる銀の量が最小限に。
 シルバー磨きでは磨きにくいチェーンや細かい細工のものもこれである程度はキレイに出来るかも。銀食器の変色もこの方法が使えます。

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