接客の印象を明るく、そして活気があるようにするために「いらっしゃいませ」や「ありがとうございます」の言い方について詳しくやってきました。これもすごく大事なことなのですが、じつはこれよりももっと簡単にでき、そして効果が出る方法があります。それは「一言添えること」。マニュアルだけではできない、最高の接客に近付きますよ!
「一言添える」。なんとなーくわかるようでいて「で、どうするんだ?」と迷ってしまう人も多いのではないかと。そこで場面ごとに使える一言を書き出してみました。このほかにも状況によっていろいろな一言があるはず。「どこでどう言ったらいいかわからない」「いまいち想像できないんだけど……」という人は、まずは以下のものを参考にしてみて下さい!
場面別の一言
お子様がいる時
- メニューを渡す時:お子様向けのメニューはこちらにございます。
- お子様用の椅子と取り皿お持ちしましょうか?(または お持ちいたしますね。)
- こちらでしたら辛くないのでお子様でも大丈夫ですよ!
- あちらにおもちゃもありますので、どうぞ使って下さい。
- このくらいの時は大変ですもんねー。うちも夜泣きやら熱出したりやら(略
妊婦さんや年配の方がいる時
- エアコンの調節もできますので、お気軽にお申し付け下さい。
- 膝掛けもありますので良かったら使ってくださいね。
- あちらに椅子をご用意してありますので、よろしければそちらでお待ちください。
- このくらいの時は大変ですもんねー。自分も膝が痛くなったり腰が痛くなったり(略
会計時や商品を手渡す時
- 重たいのでお気を付け下さい。(本当に重い場合はぎりぎりまで手を離さない、渡し方にも工夫を)
- 割れやすいのでお気を付け下さいね。
- よろしければそちらの袋とまとめましょうか?
- これはこうやって食べるのもおすすめですよー。
- これ、美味しいんですよ。私もよく買って食べてますよ!
帰り際
- 積雪時:また降って来ましたのでお気を付けてお帰り下さい。
- 荒天時:荒れてきましたねー、お気を付けてお帰り下さいね。
- 宿から出るときに:お気を付けて! 今日も楽しめるといいですね!
- 小さな子がいたら:じゃあねー! ばいばーい! と手を振ってあげたり。
電話で問い合わせ
- 是非お越し下さい。ご来店お待ちしております!
- 宿泊予約等:朝晩は冷え込むことがありますので、どうぞ暖かい服装でお越しください。
- 宿泊予約等:雪が降っていることもありますので、どうぞ気をつけてお越しください。
- 行き方を聞かれた時:もしわからないようでしたら、どうぞまたお気軽にお電話ください。
パンフレット等をみていたら
- こちらにもあるのでよろしければどうぞ!
- この祭りの時期もおすすめですよー。
お問い合わせ
- ご不明な点がありましたら、お気軽にお聞き下さい。
- 答えた後に:またなにかございましたらお気軽にお呼び下さい!
- 「何回も聞いちゃってすみません」とお客さんに言われたら:いえいえ! いつでも聞いて下さい!
一言付け加えることで堅い接客を崩す
その一言で人間味のある温かい接客に
以上のような感じで一言を付け加えることにより、いい意味で接客を崩します。マニュアルどおりの接客だとどうしても堅く、そして冷たい印象になりがちです。そこに一言オリジナルの文を付け加えることよってマニュアルでは出せない、人間味や温かみを出すことができるのです! 文字で見ると「まぁそうね」という感じだと思いますが、実際に取り入れてみると効果は絶大ですよ!
大事なのは「お知らせ」「提案」「お節介」
見ればわかるよね? ということでも「あちらにご用意してあります」「どうぞご利用下さい、あ、よろしければこちらも」という感じで言葉にしてお伝え(お知らせ)すると丁寧な印象をもってもらうことができます。そしてお客さんも「これって使っていいのかな?」という心配がなくなります。
お問い合わせもお答えした後は「またなにかありましたらお気軽にお聞き下さい!」と一言添えると「声かけて悪いかなと思ったけどよかったー。いい店員さんだ!」と思ってもらえます。(これはかなりおすすめ!)
また「こんなのもありますよー」「こんなこともできますがどうでしょうか?」という「提案」をしてあげるのも大事です。クーポンや割引が使えるお店なら「このクーポンよりもこちらを使った方がお安くなりますので、そうしておきますね!」とか、お客さんにとってすごくうれしいもの。面倒くさがりな店員さんはとかくこの部分を抜きます。ここでちょっと気を遣ってあげる、それが大事です。
そしてこういうのは「お節介かな?」くらいでちょうど良いです。たいていの店員さんは「そこまでいなくていいよね」または「お節介かな?」と思って言いません。だからこそ差が付くのです。特に観光地の接客はぐいぐい行ってOK! 活気とやる気のない観光地にはこれがないのです。どんどんお節介になって下さい!
「気が利く」=想像力と経験
とはいえ一言添えるのってちょっと難しいわけで。これはその人自身が「気が利くがどうか」という部分が大きいです。「気が利く」というのは「想像できる」ということ。「こうやってもらえたらいいのかな?」「自分ならこうしてもらえたらうれしいかも!」というのを見つけるのがポイントです。
また妊婦さんやお子様に対する一言も子どもがいる人の方が気付くことが多いはずです。まだ子どもがいないからわからなくて……という人は、他の人が言っていることをどんどん取り入れましょう。他の人が言っているのを聞いて盗む、これも経験です。自分が出かけたときも他の店員さんのいいところをチェック。そしてそっと頂いちゃいましょう。
要するに「おっ!」と思ってもらえる一言を。
想像力等書きましたが、要するにお客さんに「おっ!」と思ってもらえればいいのです。自分がお店に行き、帰り際に「また外が荒れてきましたねー、お気を付けてお帰り下さいね!」とか言われたら「おっ!」と思いますよね? これです! 「あ、そこまで気にしてくれるんだ!」的なちょっと踏み込んだ一言。お客さんに「おっ!」と思ってもらえる。そんな一言を探してみて下さい!
アドリブ力を付けよう
観光地はしゃべれてなんぼ!
マニュアルにはないアドリブの部分。お客さんにひとこと言ってあげたり、質問に答えたり。活気のない観光地やお店はこのアドリブがきかない店員さんがじつに多い。観光地はしゃべれてなんぼです!
計算した優しさでOK
とっさの時に優しさの溢れるいい言葉が自然と出てくる人って素敵です。そんな貴方と是非お友達になりたい。でも「自分、なかなか気が利かなくて」とか「口下手だし……」という方、または「堅いのはわかってるけど直せなくて」という人もけっこういるはず。そんな人は「こう言ったら印象がいいんだろうな」という言葉を出してみてください。なんか汚いやり方な感じがしちゃいますが、まずは計算した優しさでいいんです。偽善で良いと思います。
一言を出すことができたら、今度はお客さんと会話ができるようになります。その一言がマニュアルの殻を打ち破るきっかけになるんです。ガチガチのマニュアルの殻を破り、アドリブに強くなること。もしくはアドリブに強い人材。これが閉塞感漂う観光地に必要なものだと思うのです。
最後の一言は全てを挽回できる力を持っている。
接客って、最後の印象がいいと全体の印象が良くなります。まぁ最初の印象がいいにこしたことはないんですけども。電話応対のところでも書きましたが、全体的に冷たい印象になってしまっている気がする……そんな時こそ最後に一言を。これで挽回が可能です。
ちょっと話しがそれますが、ETCがまだなかった頃、高速道路の料金所では(無愛想ながら)おっちゃんが素早く的確に仕事をこなしてましたよね。支払いが終わり、車が出る瞬間に「はい、いってらっしゃい」と付け加えてくれる人がけっこういました。ああいうのって良かったなーと今でも思い出すのです。あれ、また聞きたい。