生涯趣味
そんな中、ハナから卒業など関係ないカテゴリの趣味が注目されています。
山ガール、宇宙ガール(そらがーる)、歴女、仏像女子
最近よくテレビや雑誌などで見かけるようになったキーワードです。
これらの趣味は、一昔前だったら中高年のイメージがあり、若いうちからこのテのものを趣味とか言い出すと、”ちょっと変わった人”な扱いを受けるようなものでした。合コンでは完全にキワモノ扱いされるジャンル。
山に、宇宙に歴史に仏像。どのブームも女子に引っ張ってもらっている感がありますが、それらはメディアのつくった姿なので、だいたい同じくらいの男子ユーザーもいます。歴女とかいうけど、男は横山光輝の三国志とKOEIの信長の野望の洗礼を受けて大人になるんだ。
ここであげた趣味に共通しているのは、人間がちょっとやそっとじゃコントロールできないような大きな流れの中に身を置いて、自分がちっぽけな存在だと認識できるところです。
価値観の多様化、経済活動の長い停滞、隣で起きてるグローバル化。不安なことが沢山ある世の中。
そんな時代だからこそ、自分自身を長い歴史の中に置いて、俯瞰してみる。今、身の回りに起きている出来事は、その長い歴史の中ではほんの一瞬でしかないということを感じることで、不安を取り除いたり、他人を許せるようになったりすることができます。
そんな御託を並べなくとも、抗いがいようのない大きな流れの中に、自分を開放して委ねるというのは本当に気持ちがいい。
仏像ブームざっくり年表
ここで、仏像ブームや寺カルチャーなどと言われるものに関連する事柄を、ざっくりと年表にまとめてみました。
時期 | できごと |
---|---|
1919年 |
|
1962年 |
|
80年代後半 |
|
1989年 |
|
1993年 |
|
2003年 |
|
2004年 |
|
2005年 |
|
2006年 |
|
2007年 |
|
2008年 |
|
2009年 |
|
2011年 |
|
併せてこの間の日本経済の流れを見るすと、実質GDP成長率は高度成長期では毎年10%を超えていましたが、バブル期の6%台を最後にその後は良くても数%、悪ければマイナス成長となっています。また、完全失業率を見ても、バブル期には2%ほどだったものがその崩壊によって上昇を続け、2001年には5%まで達しました。2009年には過去最高の5.7%となっています。
その2009年には阿修羅展をきっかけに、かつてないほど仏像への注目が高まりました。
『見仏記』の初版発行は90年台前半と思いの外早く、こうして年表に並べてみると、世の中に「仏像趣味は”有り”だな」と思わせたのは、実は、はなさんの存在が大きかったのではないかと思えてきます。
みうら氏はアンダーグラウンド色が強いので、それよりも「お洒落でカワイイはなさんが仏像好きなんて言ってるんだから、仏像って素敵なものに違いない」という世の中の意識変化があったのでしょう。かくいう私も、初めて意識して買った仏像本は、はなさんの本でした。
だってモテると思ったんだもん。俺はキワモノ扱いだったけど。
さて、もっともらしく日本経済がどうとか言ってみたりもしましたが、結局のところ大した発見もできない私こそが小学校すら卒業できていない感じです。