
難しいという噂は良く耳にする「高等学校卒業程度認定試験(旧・大学入学資格検定)」。実際のところ、合格するだけならそれほど難しいことはないのですが、数学だけは別なんだぜ! というわけで、ここでは高認の数学に合格するための情報をまとめたいと思います。
高認を受験する際に立ちはだかる高い壁。それが数学です。文系教科はなんとなく感覚で解答して合格することが出来たりしちゃうのですが、数学ではそれが通用しません。しっかり公式を覚え、しっかり計算出来なければ合格出来ないのです。しかも、数学は必須科目であるため、数学が苦手だからと言って避けて通ることは不可能!
でも大丈夫! 傾向と対策を練り、過去問をしっかりこなせば合格出来ます!
高認の数学で取り扱われている範囲
高認数学の範囲は高校数学で言うところの「数学I」と同じです。自分で勉強するために参考書を購入する場合は、「数学I」と書いてあるものを選びましょう。「数学IA」となっているものでも問題ありません。「数学IA」は単純に「数学I」と「数学A」を合わせたものなので、「数学I」の部分だけ勉強すればおkです。
ただし、いわゆる「脱ゆとり」の関係で平成24(2012)年度から数学Iの範囲が変更されたことに伴い、平成26(2014)年度の試験から旧来の数学Iの範囲に「集合と命題」と「データ分析」が追加されています(これを知らないで昨年受験してアワ食った人結構いると思う……)。これから数学を受験しようと考えている人は注意が必要です。
とりあえず、平成24年以前に出版された数学Iの教科書や参考書にはこの新しい範囲が載っていないので、購入の際は要注意。新しいものには「新課程対応」などと書かれているので、それを目安に参考書を探してみて下さい。
試験問題と合格に必要な点数
高認の過去問は文部科学省のウェブサイトで公開されています。
問題自体は単純に公式を利用すれば解けるような問題が多く、出題傾向も形式も毎年そんなに大きくは変わりません。傾向と対策を心得れば、中学生でも合格出来るんじゃないかというレベルです。
合格点は公表されていませんが、おおむね40点以上と言われています。問題数は20問で、一問あたりの点数は5点。確実に合格を狙うのであれば10問以上は正解が欲しいところです。
出題の傾向
以下に過去10回分の出題傾向をまとめてみました。勉強する際の参考にしてください。出題項目はこちらで独自に分類したものなので、実際に教科書などで使われている分類と異なるところもあるかもしれませんが、その点はご了承下さい。
表中、色がついている項目は出題頻度が高い(60%以上)ものです。出題頻度高めのものから勉強すれば合格は堅いです。
また、意外と狙い目なのは、新しく追加された大問1の「集合と命題」と大問6の「データ分析」。まだ2回分しかデータがありませんが、今のところこの項目に関しては計算の必要がない問題が多く、公式や用語さえ覚えていれば(なんなら、空気が読めれば)何となーく正解出来たりします。
大問1 数と式
出題項目 | 出題回数 |
---|---|
代入を利用した計算 | 3 |
式の計算 | 1 |
置換を利用した展開 | 3 |
三次式の展開 | 3 |
三次式の因数分解 | 2 |
たすき掛けを利用した因数分解 | 4 |
置換を利用した因数分解 | 3 |
有理化 | 8 |
ルートの式の展開 | 1 |
集合 | 1 |
命題 | 1 |
「集合」と「命題」は平成26年度から新たに追加された範囲。
大問2 一次不等式
出題項目 | 出題回数 |
---|---|
一次不等式 | 10 |
一次不等式の文章題 | 10 |
8 | |
5 | |
3 |
平成26年以降は大問2から二次方程式の問題が除外された模様。
大問3 二次関数
出題項目 | 出題回数 |
---|---|
平行移動 | 5 |
グラフの形を求める | 5 |
グラフの式を求める | 5 |
式の定数を求める | 5 |
頂点を求める | 10 |
大問4 二次関数と二次方程式・不等式
出題項目 | 出題回数 |
---|---|
最大・最小 | 6 |
変域を求める | 1 |
x軸との共有点 | 6 |
定数を求める | 7 |
二次不等式の解 | 10 |
大問5 三角比
出題項目 | 出題回数 |
---|---|
長さ(距離)を求める | 9 |
角度を求める | 1 |
180°-θ、90°-θの利用 | 10 |
大問5(旧・大問6) 三角比の応用
出題項目 | 出題回数 |
---|---|
代表的な三角比の値 | 7 |
sin2θ+cos2θ=1の利用 | 6 |
tanθ=sinθ/cosθの利用 | 4 |
余弦定理 | 10 |
正弦定理 | 6 |
三角形の面積 | 4 |
6 | |
2 |
平成26年度以降は、「相似比」と「球の体積・表面積」が範囲から外れた模様。
大問6 データの分析
出題項目 | 出題回数 |
---|---|
データの代表値 | 2 |
四分位数 | 1 |
箱ひげ図 | 1 |
分散と標準偏差 | 2 |
相関関係 | 2 |
平成26年度から新たに追加された範囲。
目指せ合格!
このほど(といってもすでに1、2年くらい前)、高認受験者を数学の合格に導くことが出来たので、ネタが古くならないうちにまとめてみました。気が向いたらそれぞれの問題を細かく解説しようと思っていますが、予定は未定。
とりあえず、問題集をやりちらかすより過去問を丁寧にやる方が効果的です。「この問題は教科書のこの公式を使う問題なんだな」みたいな感じで、過去問の問題と教科書を照らし合わせながら勉強するとよいと思います。
さらに言うと、解答には分数・小数の四則演算(+、−、×、÷)、一次方程式、根号(ルート)の四則演算等の知識が必要になるので、この辺が分からない人は、小中学校までさかのぼって下さい。小数・分数は小学4、5年生、一次方程式は中学1年生、ルートは中学3年生の教科書に掲載されているハズです。小学校の算数や中学校の数学をまるっとまとめた大人向けの参考書も出ているので、その辺で勉強すると効率が良いと思います。
それでは皆様のご健闘をお祈り申し上げまする。