買い物をした場合
それでは、出費が発生した場合はどのように記帳すればいいでしょうか。
ここで、例としてお茶を買ってみましょう。お客さんに出すお茶がなかったので、最寄りのスーパー原信で1,000円のお茶を買ってきます。お金はさっき佐藤さんからもらった香典をさっそく使わせてもらうということで。
この場合は「現金1,000円を消耗品(お茶) 1,000円分に変換する」と考えることができます。よって、記帳は以下のようになります。
No. | 借方金額 | 借方科目 | 備考 | 貸方科目 | 貸方金額 |
---|---|---|---|---|---|
4 | 1,000 | 消耗品 | 12/1 原信 お茶 | 現金 | 1,000 |
買い物での出費は基本的に「消耗品」に分類します。簿記だと消耗品として計上できるのは10万円以下というルールがありますが、別に税務申告するわけでもないので、細かいことは気にしなくておkです。
科目は適宜追加しておk
また、場合によっては「消耗品」以外に「飲食代」とか「お茶菓子代」などの科目を新たに設定しても構いません。
「消耗品」以外の科目を設定する理由は、あとから出費の内容を分析しやすくするためです。例えば、出費をなんでもかんでも「消耗品」に分類してしまうと、お寺へいくら出したのか、葬儀費用自体はいくらかかったのか、などが分かりにくくなってしまいます。
そこで、お布施や永代供養料は「お寺費」、セレモニーホールの使用料やホールでの飲食代は「葬儀費」というようにまとめることで、出費の内訳がわかりやすくなります。あまり細かく分けすぎるとそれはそれで手作業での集計がめんどくさくなるので、科目は必要最小限にしましょう。
葬儀の場合はあらかじめ以下のような科目を想定しておくとよいです。必要に応じて科目を増減してください。
消耗品費 | 買い物で発生した費用 |
---|---|
お寺費 | お寺さんへのお布施や永代供養料など |
葬儀費 | 葬儀にかかる費用全般。たとえばセレモニーホールの使用料など |
租税公課 | 住民票の取得などで役所に支払う費用 |
通信費 | 切手代や電話代、荷物の送料など |
支払手数料 | ATM手数料など |
雑費 | 買い物以外で発生した費用。たとえば故人の残したカードの支払いなど。 |
故人に係る費用は「故人関係費」とかいう科目を設定してまとめてもいいかもです。カードやら家賃、光熱費、医療費などの請求があとからボロボロ出てきたりするので。
なお、お寺は基本的に領収書を発行してくれないので、なにをいくらお寺に渡すのか、事前にしっかり喪主に確認しましょう。帳簿が合わなくなりますよ。
あと、レシートは取引の証明になるので、ちゃんともらって保管しましょう。わざわざ「領収書」をもらわなくても大丈夫です。最近はレシートのほうが買ったものや日付などが細かく記録されるので領収書より全然いいと思います。税法上もレシートで問題ありません。
借り入れが発生した場合
上の例ではお茶を買うのに香典でもらった現金を使いましたが、実際にはいきなり香典に手をつけることはないでしょう。どちらかといえば喪主のポケットマネーから買い物をすることになるのが一般的だと思います。
というわけで、今度は喪主のポケットマネーで仏壇用の生花を買ってくることにします。喪主から預かったお金をもって原信で仏花を3,000円分買ってきました。
ここで喪主のポケットマネーはあとから返済することとし、「借入金」として処理します。そうするとこの取引は「借入金(喪主のポケットマネー)3,000円を消耗品(仏花)3,000円分に変換した」と考えることができるので、記帳は以下のようになります。
No. | 借方金額 | 借方科目 | 備考 | 貸方科目 | 貸方金額 |
---|---|---|---|---|---|
5 | 3,000 | 消耗品 | 12/1 原信 仏花 | 借入金(喪主) | 3,000 |
厳密に言えば、この取引は以下の2つの取引で構成されています。
No. | 借方金額 | 借方科目 | 備考 | 貸方科目 | 貸方金額 |
---|---|---|---|---|---|
5 | 3,000 | 現金 | 12/1 現金借入 | 借入金(喪主) | 3,000 |
6 | 3,000 | 消耗品 | 12/1 原信 仏花 | 現金 | 3,000 |
No.5の取引で借入金3,000円を現金3,000円に変換し、No.6の取引でその現金3,000円を消耗品3,000円に変換しています。
でも、今回の場合は現金を1回金庫に入れたわけでもないので、最初の記帳例のように1行にまとめてしまって構いません。
あと、「借入金」はあとからお金を返すことが前提なので、「借入金(喪主)」とか「借入金(叔父さん)」とか書いておいて、誰からいくら借り入れているのかがわかるようにしておきましょう。
お釣りの扱い
5,000円預かってお釣りの2,000円を喪主に返した場合も、「釣りは取っておいていい」と言われてお釣りを自分のポケットにしまった場合も、上の記帳でおkです。
面倒なのは「お釣りは葬式費用に回しておいて」と言われた場合。この場合は、お釣り分の2,000円を現金に変換する処理が必要になるため、以下のように記帳することになります。
No. | 借方金額 | 借方科目 | 備考 | 貸方科目 | 貸方金額 |
---|---|---|---|---|---|
5 | 3,000 | 消耗品 | 12/1 原信 仏花 | 借入金(喪主) | 5,000 |
6 | 2,000 | 現金 | 12/1 お釣り 振替 |
これは以下のように記帳してもおkです。
No. | 借方金額 | 借方科目 | 備考 | 貸方科目 | 貸方金額 |
---|---|---|---|---|---|
5 | 3,000 | 消耗品 | 12/1 原信 仏花 | 借入金(喪主) | 3,000 |
6 | 2,000 | 現金 | 12/1 お釣り 振替 | 借入金(喪主) | 2,000 |
実際の商売でも現金が動くととかく面倒がおきがちなので(帳簿上の数字と実際の現金の金額が違うとかありがち)、できる限り支出は、通帳に数字が残る銀行引き落としを使うとか、とりあえず借入金で処理してあとからまとめて借入金分を清算するとかいうやり方をするのがよいです。