
猛毒を持った毒キノコとして知られるカエンタケと、その見た目からパナップ茸とも呼ばれるHydnellum peckiiが技大に生えてる! という噂を聞きつけたので見に行って参りました!
「カエンタケとHydnellum peckiiが生えてる」というツイートをしてくれた技大生、ありがとうそしてありがとう。そんなわけでTwitterの情報を頼りに行ってきました。最近、技大、話題だな(すっとぼけ)。

いまさらですが技大とは新潟県長岡市にある長岡技術科学大学のことです。「電気棟の奥の渡り廊下の下」的な情報を得、行ってみたところすぐに発見。てか、すでに見つけて写真を撮っている知り合いに遭遇。カエンタケオフ会が開催されました。

ここが今回の会場だ。伐採された木の根元にキノコが発生。
カエンタケ

こちらがカエンタケ。人間の指のような細長い形をしており、何本かまとまって生えます。色は赤〜オレンジ。イメージだともっと鮮やかな赤だったのですが、実際に見てみると思ったより薄く、色あせたような色をしてました。そのへんは生育環境によるのかもしれないです。

技大に生えていたのは3cmほどの高さのもの。成長すると20cm以上になることもあるそうです。ブナ、コナラなどのナラ類に発生。切り株はプラタナスの木のように思います。

すでに掘り起こされ、折れていた株。中はスカスカな感じです。

と、ここでカエンタケの毒性について。致死量は3gと非常に強い毒性を持つキノコで、指先サイズを食べただけで死に至ると言われています。冬虫夏草と間違えての誤食が少なくない他、過去に新潟県内でカエンタケを浸したお酒を飲んで死亡した例があるとか……
そしてカエンタケの怖いところは、なんと触っただけでも皮膚に症状が出る点。接触部位に炎症・ただれが起きます。怖い!
カエンタケを誤って手で触れてしまった場合は、石けんを使用して、充分に洗浄してください。誤って食べてしまったときとは異なり、触れてから4時間から5時間後でも充分効果はあります。付近に石けんがない場合は、応急処置としてお茶や水でよく洗い流しておき、後ほど石けんを使用して充分に洗浄してください。石けんの使えない目や口の中のような部位については、流水で充分洗浄してください。いずれの場合においても、応急処置後は速やかに医師の診察を受けてください。
もしも触ってしまった場合は石けんで洗浄! 最近は公園などに自生していることもあり、散歩中の犬が被害に遭うこともあるそうです。赤くて細いキノコには気を付けましょう! 触っちゃダメ! 絶対!
赤い汁が出るキノコ Hydnellum peckii

「Hydnellum peckii」(読み方はヒドネルム・ペッキーだと思うのですが、ネット上ではハイドネリウム・ピッキー、ヒドネラム・ペキイ、ハイドネルム、ハイドネラム、ヒュドゥネッルム、ペクキイ等々諸説あり)も一緒に生えてる! ということでこっちもじっくり観察・撮影してきました。白いキノコから赤い汁が滴り出るキノコです。こっちはこっちで見た目が凶悪。
その見た目から「パナップ茸」と呼ばれたりしているようですが、正式な日本名はない模様。

成長すると茶色っぽい見た目になり、赤い汁も出なくなるそうです。たぶんこれは先に生えて成長が進んだもの。汁少なめです。

「パナップ」にも似ていますが「ぷっちょ」に似ているという話もあり。基本、食べ物なんだな……毒キノコ説と毒はない説の両方がありますが、味は苦くて美味しくはないらしいですぞ。

ところでこのHydnellum peckii、年々範囲を広げて行っているものの、日本国内ではまだ確認されていないという話が。
主に北米、ヨーロッパなどに生息し、北アメリカでも確認されている。近頃では2008年にイラン、そして2010年では韓国でも発見されている。今のところ日本では未確認。Hydnellum peckiiに関する資料をまとめておく :: キノコの資料をゆっくり見ていってね!|yaplog!(ヤプログ!)byGMO
イラン、韓国で確認されている(日本では未確認)と言うソースはたぶん英語版のwiki。
It is found in North America, Europe, and was recently discovered in Iran (2008) and Korea (2010).
日本国内での発見については言及されていないので、未確認という扱いになっている感じです。英語版に書かれてないだけですでに日本にも生えてる可能性あり。
ともあれHydnellum peckiiは外来種。駆除等、迅速な対応が求められる存在でした。貴重な感じがするけども!
サルノコシカケ系も生えてるキノコいっぱいゾーン

同じ枯れ木には大きめのサルノコシカケ系のキノコも生えてました。菌類フローラ。

キノコが発生している場所は渡り廊下の下。ちょうど建物の影が落ちる場所のため、乾燥することなく、キノコの生育に適していた環境になっていた模様です。そしてここは駐車場や構内への入り口が近い道路・歩道沿い。大学ゆえ、留学生や海外に行ってきた人の靴に付着していた胞子が枯れ木に付着。運良くなのか運悪くなのか、ちょうどそこに根付いてしまったのだと思われます。
そんな感じ

触るだけで危険なカエンタケ、そして外来種のHydnellum peckiiは近いうちに事務局あたりが撤去するんじゃないかと思われます。(そう思って土曜に情報ゲット、日曜に見に行ってきました。)

そんなわけで危険なキノコ&珍しいキノコの組み合わせが見られてラッキー! ということにしておきます。日本国内で初めて確認&外来種については、どこかキノコ系・生き物の生態系の機関に問い合わせようかと思ったのですが、いまいちここ! というのが見つからず。というわけでキノコクラスタのみなさん、あとは頼んだ!
追記
その後の情報を入手! 現場周辺は立ち入り禁止に。保健所の指導のもと焼却処理を実施し、来春以降も滅菌作業を続けていくという処置になったようです! というわけで今後はもう生えない予感!