「阿部仏壇製作所」へ行ってみたわけですが、やっぱり本人の言葉が一番伝わるのではないかと。(取材者としてはどうなんだ、という気もしないでもないですが。)
そんなわけで吉田君からメッセージを書いて頂きました!ものづくりに対する思いがぎっしりと詰まっています。
はじめまして、木地師の吉田です。
当社は、代表であり「塗り師」の兄が中心となり経営している会社です。先代の父から学んだことも含め、ものづくりへの方針は職人一人一人が平等に意見を出し合っています。
その中でも、一番大切にしていることは 『強固で美しい製品を作る』 ということです。
御仏壇は見たところ、どこもそんなに違いがないように見えます。しかし、作る人間が見れば10年後その御仏壇がどのうに劣化していくのか、大方の見当が付きます。
それを知っているからこそ、大切にしている方針があるのです。
たとえば木地。
県内に設置する御仏壇の木地は、県内で製材するのが一番望ましいです。建物も同様ですが、造りが複雑になればなるほど、その土地の環境の違いが製品に変化をもたらせてしまうからです。
現状として市場には、中国で大量生産された木地が多いです。しかし、適材適所材料を選別し、お客様のご要望に合った製品を作ることが、当社の木地の特徴です。
塗りに関してもこだわりがあります。
塗りには色を見せるということ以外に、製品を保護する役目もあります。見た目に関しては、下地1回でも普通はほとんど分かりませんが、当社では下地だけで最低3回は重ねます。手間はかかりますが、そうすることで製品をより長持ちさせることができます。塗るたびに行う「研ぎ」の作業は、ほとんどが手作業によるものです。微妙な加減ができなくなり、仕上がりが雑になることがあるからです。
御仏壇の仕上げでよく使われている、ウレタン塗装も当社では一切使いません。プラスティックのような人工的なツヤに見えてしまうので、御仏壇には適さないと判断しているからです。お客様のご予算によって、カシュー漆か本漆を使用します。カシューはカシューナッツの実の殻から抽出される成分を主原料とした、漆にとても近い塗料です。これを、下地もしくは上塗りに使うことにより、ふっくらとしたツヤと厚みを出すことができます。
この「塗り」と「木地」が当社の主体であり、御仏壇の基礎です。他、「彫り」「金具」「蒔絵」も、当社が昔からお世話になっている方々にお願いしています。
特に蒔絵は全て、先代の同級生でもある渡辺氏によるものです。先代の薦めで若い頃に「蒔絵師」になり、以後当社の御仏壇にあしらう蒔絵は全て一任しております。
御仏壇の基礎は、普通の方には判断が難しいですが、蒔絵の美しさは現物を見ればどなたでも感じて頂くことができます。
このように、御仏壇は様々な職人の知恵と技術で作られます。
当然のこと、海外で仕上げられた製品より価格は高くなってしまいますが、お客様とのご相談の中でその都度、私達のできる限りのことを尽くした品質と価格設定をしております。
そして、たとえ小さな御仏壇でも基礎の強固さは変えません。仏間の割に小さな御仏壇でも、見栄えが良くなるよう様々な提案をさせて頂いております。
御仏壇はただの製品ではありません。
亡くなった方の住まう場所であり、お客様の心のよりどころになります。それをふまえた上で、職人一人一人が誠心誠意ものづくりに励んでおります。
これからも、イメージ広告や大げさな表現に横着せず、正直でまっすぐな会社であり続けるよう、父が残したこの会社を兄弟で守り続けていく所存です。
全ての製品の「木地」と「塗り」を自社で製作するという、現在の新潟における御仏壇業界の中では特殊な会社になってしまいましたが、当たり前のことを当たり前に取り組み続けます。
毎日ブログ(ものづくり日和)を更新しておりますので、是非ご閲覧頂き、応援してくだされば大変ありがたいです。
長文になってしまいましたが、最後までお付き合い頂きありがとうございました。
今回話を聞かせてもらって思ったのは、専門分野になればなるほど、是非本人に語ってもらいたい、ということ。
そこで吉田君に打診してみたところ、快く引き受けてくれ、こんな立派な文章を頂くことができました。忙しいにもかかわらず、本当にありがとうございます。
まっすぐに取り組んでいるのが伝わってきます。(吉田君、文章を書くのもうまいです。)
作業風景のわかるブログ「ものづくり日和」も毎日更新中。そちらも是非ご覧下さい!
阿部仏壇製作所
所在地 | 〒950-0807 新潟県新潟市東区木工新町372-10(木工団地内) |
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TEL | 025-275-7801 |
FAX | 025-275-7802 |
abe-bu@ac.auone-net.jp | |
webサイト | http://www.ab.auone-net.jp/~abe-bu/index.htm |