新潟県内でもそれほど知られていない、模擬原爆投下地点跡地に行ってみました。それは長岡市左近にあります。
長崎に投下された原子爆弾「ファットマン」とほぼ同じ形状・比重・重量配分になるように作られた「パンプキン爆弾」。原爆投下のデータをとるために作られた「模擬原爆」として知られています。
模擬原爆は全国で30都市に50発ほどが投下され、新潟県内でも、長岡市、柏崎市、阿賀町(旧・鹿瀬町)に投下されています。
現在、長岡市の模擬原爆投下地点には碑が建てられています。長岡市左近にあるのですが、注意して見ていないと、看板を見落としてしまうかもしれません。
「永代橋」と名付けられた橋の向こう側に碑はあります。
碑には模擬原爆の説明が書かれています。
碑が建立されたのは平成17年(2005)。7/20は模擬原爆が投下された日と同じです。
模擬原爆は昭和20年(1945)7/20 8:13に、この場所に投下されました。爆弾の重量は4.5tですが、そのうち、TNT火薬は約2.5t。あとはコンクリートなどを詰めることでファットマンと同程度になるように調整されていたようです。
模擬原爆とはいえ、それはやはり爆弾であり、それなりの被害が出ています。
爆発による被害は、死者四名、負傷者五名、住宅全壊二戸のほかに左近地区全戸が被害を受けました。模擬原子爆弾投下地点跡地の碑
保安距離の計算方法によると、2.5tのTNT火薬の場合、爆心地から半径50m以内にある家屋は倒壊、爆心地から半径500m離れた家屋でも窓ガラスが割れるくらいの爆発になります。
碑のある場所から、長岡市庁舎が見えます。目の前にある川にはカルガモが泳いでいたりと、全く平和な景色が広がっています。
ところで、投下された模擬原爆50発のうち1発は、任務放棄により海上投棄されたそうです。任務放棄した人は、一体何を思ったのか、考えてしまう話です。