出雲崎の妻入りの町並みの中に、「綱式石油井戸C-2号保存施設」という看板が小さくありました。これ、なに?
妻入りの町並みの中に位置する「綱式石油井戸C-2号保存施設」。たいそうな名前ですが、そこにあったのは、ほとんど放置された状態の石油井戸でした。
「綱式」は井戸の掘削方法を示しています。重りを地盤にぶつけて衝撃破壊することで掘削していく「衝撃式掘削法」の一種です。原理としては、最近、アフリカなどで井戸を作るのに利用されている「上総堀」と同じです。
具体的には、動梁(天秤)の片側を綱(ワイヤー)でドラムと繋ぎ、クランク機構を利用して、動梁を上下運動させます。動梁を上下させることで、動梁の反対側に接続された掘削機を上下させて掘削していきます。ドラムはモーター等の動力で回転させます。
ちょっと小高いところにある小屋の中にモーターやドラムがありました。
こんな感じです。写真には写っていませんが、左に巨大なドラムがあります。
こちらは動梁。動梁と小屋の中のドラムはワイヤーでつながっています。
この井戸は、最近まで実際に使われていたようです(詳細未確認)。
出雲崎は、国内で最初に石油の機械堀に成功した地でもあります。かつては尼瀬油田と呼ばれ、海岸線沿いにいくつもの井戸が立ち並んでいましたが、現在ではその頃の面影はありません。産業遺産が好きな人でもなければ、分からないものになりつつあるようです。また、「石油記念館」は取り壊され、展示物は現在、「道の駅 越後出雲崎天領の里」に移されています。
20世紀初頭の日本の石油資源を支えた石油井戸は、出雲崎の片隅にひっそりと佇んでいます。