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これからはじめる万年筆入門 – とりあえずの一本を探すために

万年筆

 実はワタクシ、5年ほど前から万年筆を愛用しています。文房具はわりと好きな方ではありますが、マニアではありません。万年筆はあくまで日常的に物書きをするのに使う道具です。
 ここでは万年筆の選び方や使い方などををご紹介したいと思います。これから万年筆を持ってみようと思っている人は参考にしてみてください。

 万年筆はめんどくさいです。インクの補充で手が汚れるなんてのは当たり前。カバンの中で液漏れしてたり、爆発してたりすることもあります。インクも思うほど安くはありません。そのくせ、水に濡れると文字がにじみます。「万年筆はエコ!」とか言ってる人もたまに見ますが、実際には(環境負荷的にもコスト的にも)大して変わらないか、あるいはむしろ、シャーペンやボールペンの方がエコです。

 さらに言えば、万年筆は使用できる場面が限定されていることも多いです。
 博物館などでは万年筆の使用が禁じられている場合があります。これはインクが飛び散って資料に付いたりするのを防ぐ意味があるようです。
 また、かつては公文書の作成に用いられていた万年筆ですが、最近では万年筆の使用が禁じられている場合もあります。現代における万年筆は、ロケット鉛筆と大して変わらない、ほとんど趣味の筆記用具と考えた方が良いと私は思っています。

 万年筆をもつ人はその特性を良く理解して、使用する場面に気を付けましょう。なんでも万年筆で書こうとするのではなく、時と場合に応じて、鉛筆やボールペンに持ち替える臨機応変さを持ち合わせるようにしましょう。万年筆に限りませんけれども。

 とまあ、めんどくさい万年筆ですが、それでも使ってるのは「書き味が好き」の一点に尽きます。鉛筆とボールペンの間のような、いつまでも書いていたくなるような、他の文房具にはない感触なのです。毎日万年筆を使うために日記を書いてる、と言っても過言ではなかったりします。

何を選べば良いのか

 「万年筆って価格が数千円から数十万円まであって、どこから手をつけたら良いのか分からない」という人は多いと思います。そこで、ここでは最初の一本を選ぶための基礎知識を伝授したいと思います。

 自分が知っている(聞いたことがある)万年筆メーカーは以下のような感じです。なんであのメーカーが入ってないんだとか言う人もいると思いますが、自分もにわか万年筆ユーザなので許してください。

 海外メーカーの万年筆とかちょっとあこがれちゃいますが、日本語を書く機会が多いなら国内メーカーの「極細」か「細字」の万年筆をオススメします。

とりあえずの一本!

 そんな中でも万年筆初心者におすすめの一本はこれだ!

万年筆

 プラチナ万年筆から出ている「プレピー」。お値段なんと210円。価格も見た目もまるでファンシー文具ですが、万年筆メーカーが作った製品だけあって値段以上にしっかり万年筆してます。
 インクはカートリッジ式で交換可能。カートリッジはプラチナ万年筆から出ている普通の万年筆用カートリッジでおk。コンバータも(公式に「使える」とは書いてありませんが)使えるみたいです。

 万年筆はインクの色を途中で変える場合、洗浄して、水につけて、乾燥させて……と、かなり手間がかかるのですが、プレピーなら安いので、色の数だけペンを揃えることも出来ます。

1万円前後が金ペンボーダーライン

 初めて万年筆らしい万年筆をもつのであれば、定価1万円台の万年筆がオススメです。
 万年筆は1万円以上で金ペン(ペン先に金を使ったもの)、1万円未満で鉄ペン(ペン先にスチールなどの金属を使ったもの)になる傾向があるようです。

万年筆
自分が持ってるのはプラチナ万年筆のバランス(PTB-10000B)。定価10,500円ですが、ネットだと7,000円ちょいくらいの価格で販売されています。
万年筆
ペン先は極細の14Kです。もちょっと高いヤツになると18Kになったりしますが、そんなすっごい違いがあるわけではないので、どちらでも良いと思います。

 書き味は、金ペンはペン先がしなやかで、鉄ペンはペン先が固いという違いがあるらしいですが、まあおそらく、鉛筆のハイユニとステッドラーくらいの差なんじゃないかと思います。よく使う人は違いに気が付く(しかし気のせいのような気もする)レベル。

 金ペンは腐食耐性高いので(なんたって金だし!)長く使えると思いますし、「万年筆持ってる!」って感じがするので(なんたって金だし!)、最初の一本としては良いんじゃないかと思います。

 特に昔ながらの酸性のブルーブラックのインクを使いたいと考えている人は金ペンにしておけばまず間違いないです。最近では鉄ペンの性能も上がってるという話なので、そんなに神経質になる必要はないかもしれませんが、一応。
 そんなわけで、迷ったらとりあえず金ペンにしとけ(= 1万円台の万年筆にしとけ)って感じです。

 5万円あたりからは蒔絵の装飾とかしだして、なんかもうワンダーランドって感じです。手にしたことがないのでよく分かりませんが、スペックを見た感じでは、書くという面では1万円台とあまり違いはないように思えます。

数千円台の万年筆の魅力

 とりあえず1万円台の金ペンの万年筆をオススメしましたが、数千円台の万年筆も魅力的なものがあるので要チェックです。低価格帯ゆえに出来る冒険がそこにある。

 個人的に、気になってるけど手を出したらヤバイ気がしてるのはLAMYのサファリシリーズです。
 ポップでキュートなカラーリングとスタイルが魅力的なのはもちろんのこと、ちょいちょい限定色なんかを出してくるのでコレクター心がくすぐられすぎてヤバイ。

Lamy Safari production models
カラー展開がすさまじいサファリ。サファリ沼にハマりそうで手が出せません。サファリと言えば、たまーにスペーサ(ボール紙で出来た茶色のリング)をつけたまま使ってる人がいますが、あれはハズして使うものなのでご注意を。良く見て! ちゃんと「remove」って書いてあるよ! / Lamy Safari production models by Lamy 2000, on Flickr

 そこそこの書き味のものをごりごり使い倒したいとか、いろんな色のインクを使いたいとかいう人はあえて数千円台の万年筆を選択するというのもアリだと思います。

「コンバータ」の利用がおすすめ

 最近の万年筆(といっても昔はどうだったか知らない)は買ってすぐに使えるカートリッジ式を採用しているものが多いです。しかし、カートリッジ式はコストが高い。
 例えば、毎日日記を書くという使い方でも2週間程度でインクはなくなってしまいます。カートリッジの価格は一本50円ほど。これだとボールペンの方が全然いいということになります。

 そこで「コンバータ」ですよ。

 コンバータはカートリッジの代わりに万年筆に装着することで、万年筆を吸引式に変えることが出来る素敵アイテムです。

万年筆
カートリッジの代わりにコンバータを装着することで、万年筆が吸引式に大変身。

 コンバータを利用することで、インクのコストを大幅に抑えることが出来ます。たとえば、プラチナのインクの場合、カートリッジだと1.2ccのカートリッジが10本入って420円なので、1ccあたり35円。一方、ボトルは30ccで420円なので、1ccあたり14円。コストが2.5倍も違います。

 コンバータを使うもうひとつのメリットは市販の様々なインクを使えることです。最近は様々な色のインクが登場しています。季節などでインクの色を変えるのもまたいとおかし。
 ただし、純正以外のインクを使ってトラブルが発生した場合(漏れたとか詰まったとか溶けたとか)は保証の対象外となるので、自己責任でご利用ください。また、コンバータは使ってるとダメになってくる(インク漏れしたりする)ことがあります。消耗品だと思った方が良いかも。ダメになるとしても年単位ですけれども。

まとめ

  • とりあえず万年筆を体験したい人には「プレピー」
  • 万年筆っぽい万年筆を持ちたい人は1万円台の金ペンの万年筆
  • コレクションすることに喜びを感じる人は数千円台の鉄ペンを漁れ!

という感じです。

 次回の万年筆入門は万年筆の醍醐味でもあるインクについて、まとめたいと思います。お楽しみに。

プラチナ万年筆 万年筆 プレピー ブラック 細字 PSQ-300#1-2

  • メーカー:プラチナ万年筆
  • カテゴリ:オフィス用品
  • 発売日:2020/10/29

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