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福島の仏像『ふくぶつ』についてまとめてみた

ドカベンを読んでいる

 福島といって皆さんがまっさきに思い浮かぶものは、あかべこや喜多方ラーメンだったりと様々なのではないかと思うのですが、私がまっさきに思い浮かぶのはいわき東高校の緒方くんなのです。

 この緒方くんは、いわき東高校のエース。

 抜群のコントロールとベースの約80cm手前で落ちる超高校級のフォークボールを武器に、県大会では完全試合を達成。甲子園では、決勝までの4試合すべてを完封で勝ち抜き、決勝でも岩鬼正美に2本のホームランを打たれる以外は、どえがきはおろか山田太郎も抑え、8回表までの44イニング連続無失点を記録しました。
 しかもこの岩鬼の2本のホームランにしても、1本目は得意のフォークボールがあまりに切れ味鋭いがために、岩鬼にとってはホームランボールの悪球となってしまっただけ。2本目は、ど真ん中のストレートを投げたにもかかわらず、太陽が岩鬼の目に入って、これまた岩鬼にとってはホームランボールの悪球となってしまったという、まったくコントロールミスのない、実質的にはドカベン史上最強の架空の人物なのです。

 私は、小学校4年生のころから野球を始め、かれこれ10年以上野球をやっていたはずなのですが、未だ満足にフライすら取れません。これは多分、弱っちい横浜大洋のファンを20年以上も続けているせいに他ならないのですが、とはいってもなんだかんだと今でも野球は大好きなので、先日も「俺もフォークボール投げられれば、違った人生を歩んでいたはずだ」と、このいわき東の緒方君のことを考えていたところ、ふと東北地方の高速道路無料措置のことを思い出したのです。

国指定 重要文化ふくぶつ についてまとめてみた

 東日本大震災による被災地支援・観光振興の高速道路無料措置は3月末までのようです。
 こんな機会でもないとなかなか遠出できない我が家の懐事情なものですから、折角ですし福島の仏像『ふくぶつ』の、中でも国指定の文化財となっているものについてまとめてみました。

 福島は太平洋と阿武隈高地にはさまれた浜通り、阿武隈高地と奥羽山脈にはさまれた仲通り、そして奥羽山脈と越後山脈に挟まれた会津の3つの地域にわかれ、さらに浜通りは「相双」「いわき」、仲通りが「福島」「郡山」「白河」、会津が「猪苗代・磐梯高原」「会津若松」「喜多方」「南会津」と、それぞれのエリアに細分化されています。

 福島の仏像『ふくぶつ』の中でも、国宝や国指定の重要文化財に指定されている仏像は、このエリアの中でも「喜多方エリア」「会津若松エリア」「福島エリア」「いわきエリア」の4つに集中していますので、観光を兼ねた見仏へも行きやすいのではないかと思います。

エリア 所有者 仏像名
喜多方 中善寺 木造薬師如来坐像
願成寺 木造阿弥陀如来及両脇侍像
会津若松 勝常寺 木造四天王立像
木造十一面観音立像〈/(観音堂安置)〉
木造聖観音立像
木造地蔵菩薩立像
木造地蔵菩薩立像〈/(所在観音堂)〉
木造天部立像〈(伝虚空蔵菩薩像)/(所在観音堂)〉
木造薬師如来及両脇侍像
恵隆寺 木造千手観音立像
弘安寺 銅造十一面観音及脇侍〈不動明王/地蔵菩薩〉立像
浄泉寺 木造薬師如来坐像〈/(薬師堂安置)〉
法用寺 木造金剛力士立像 *阿形は鶴ヶ城天守閣内に安置
法幢寺 銅造阿弥陀如来及両脇侍立像
個人蔵 木造吉祥天立像
福島 大蔵寺 木造千手観音立像
陽泉寺 木造釈迦如来坐像
いわき 願成寺 木造阿弥陀如来及両脇侍坐像〈/(阿弥陀堂安置)〉
木造持国天立像(寺伝広目天像)
木造多聞天立像
長隆寺 木造地蔵菩薩立像〈/(地蔵堂安置)〉
能満寺 木心乾漆虚空蔵菩薩坐像
薬王寺 木造文殊菩薩騎獅像
東京 いわき市 銅造阿弥陀如来及両脇侍立像

喜多方エリア

 喜多方エリアはなんといっても喜多方ラーメンなのでしょうが、最近では喜多方ラーメンバーガーなるものがあるそうです。『道の駅 喜多の郷』のものが元祖のようですね。
 最近では、こういった食べ物はその地域でレシピを共有して、ご当地グルメ的に盛り上げるのが王道になっていますが、この喜多方ラーメンバーガーは道の駅さんが商標登録を前面に主張していたりと、なかなか興味がつきません。試食レビューなんかを読むと、かなり旨そうなので是非とも食べてみたいところ。

喜多方ラーメンバーガーは、当社の商標登録済商品(登録第5426448号)です。
喜多方ラーメンバーガーは、大量生産が出来ないことから、地域外のイベントに出展する場合も、充分な数量をお持ち出来ないことがあります。
そのため、出展先の近くで、同じラーメンバーガーの名称で、似ても似つかない商品が売られている場面に遭遇することがあります。喜多方ラーメンバーガーが、全国に知られるようなるのは、とっても嬉しいことですが、何とか、本物の喜多方ラーメンバーガーを、皆様のお手元に届けたいと思っておりました。
人気のラーメンバーガーがある ふるさと亭レストランの紹介 | 道の駅 喜多の郷 – 喜多方市ふるさと振興株式会社 –

 このエリアの仏像では願成寺の会津大仏に注目。千体仏がならぶ舟形光背を背負い、脇持の観音菩薩と勢至菩薩は大和座りをしています。大和座りをしている仏像といえば京都の三千院が有名なのですが、それが地方のお寺で見れるとはなかなか珍しいのではないかと思います。
 また、このエリアでは、国指定の文化財とはなっていませんが、新宮熊野神社で文殊騎獅像も見ておきたいところです。

中善寺(ちゅうぜんじ)

所在地 〒966-0011 福島県喜多方市関柴町関柴字赤坂
連絡先 喜多方市 観光課、喜多方観光協会 / 電話:0241-24-5200
文化財 木造薬師如来坐像/鎌倉
拝 観 要事前連絡(志納)
備 考

願成寺(がんじょうじ)

所在地 〒966-0931 福島県喜多方市上三宮町上三宮字籬山833
連絡先 願成寺 / 電話:0241-22-1565
文化財 木造阿弥陀如来及両脇侍像/鎌倉
拝 観 仏像拝観は7時から日没30分まえまで(志納)
備 考 通称 会津大仏。

会津若松エリア

 会津若松といえば、ソースカツ丼は押さえておきたいところ。新潟でカツ丼といえば、タレカツ丼が主流なのですがこちらはソースカツ丼のようです。私自身としては、ソースカツ丼といえば新潟県上越市のとんかつ大矢だったりしますので、ここは是非食べ比べてみたいものです。

宇佐美食堂のソースカツ丼(撮影者@k_arts)
会津でカツ丼といえばソース味のカツ丼があたり前。

ソースカツ丼とは戦後、洋食屋さんから広く作られるようになったと言われているが、その由来はまだ解明されていません。

会津の食堂に入るとソースカツ丼があります。
伝統会津ソースカツ丼の会

 このエリアは、国宝の薬師如来はじめ数多くの仏像が居る勝常寺を筆頭に、会津五薬師、会津ころり三観音など仏像的見所満載です。

 勝常寺では薬師の光背に取り付けられている1体の飛天に注目。この飛天は、薬師と同時期に製作されたもので、大正時代に台座下から発見されてその後取り付けられたものだそうです。他のものは破損し、紛失してしまったのでしょう。仏像本体は後世に伝えられても、台座や光背などの部品は壊れやすかったり、非常時に持ち出しにくかったりするために、なかなか後の時代まで残ることは珍しいようです。
 そういった時の流れを感じながら、光背の飛天を見てみたいものですね。

勝常寺(しょうじょうじ)

所在地 〒969-3556 福島県河沼郡湯川村勝常代舞1764
連絡先 勝常寺 / 電話:0241-27-4566
文化財 木造薬師如来及両脇侍像(*国宝)/平安
木造聖観音立像/平安
木造天部立像〈(伝虚空蔵菩薩像)/(所在観音堂)〉/平安
木造十一面観音立像〈/(観音堂安置)〉/平安
木造地蔵菩薩立像〈/(所在観音堂)〉/平安
木造地蔵菩薩立像/平安
木造四天王立像/平安
拝 観 仏像の拝観は4月から11月15日まで。火曜休み。9時から16時。要事前連絡。拝観料500円。
備 考 福島の仏像唯一の国宝である薬師如来。会津五薬師。
福島県湯川村公式WEBサイト 史跡・文化財

恵隆寺(えりゅうじ)

所在地 〒969-6584 福島県河沼郡会津坂下町塔寺松原2944
連絡先 恵隆寺 / 電話:0242-83-3171
文化財 木造千手観音立像/鎌倉
拝 観 9時から16時。拝観料300円。
備 考 通称立木観音(たちきかんのん)で『ころり三観音』のひとつ。像高742cmで東北地方最大級の木造仏。
公式サイト:金塔山 恵隆寺 「立木観音堂」

弘安寺(こうあんじ)

所在地 〒969-6405 福島県大沼郡会津美里町米田堂ノ後甲147
連絡先 弘安寺 / 電話:0242-78-2131
文化財 銅造十一面観音及脇侍〈不動明王/地蔵菩薩〉立像/鎌倉
拝 観 個人での仏像拝観は月水金。9時から16時。要事前連絡。拝観料500円。
会津寺社仏閣 会津六詣出 – 中田観音
備 考 通称中田観音(なかだかんのん)で『ころり三観音』のひとつ。

浄泉寺(じょうせんじ)

所在地 〒969-6518 福島県河沼郡会津坂下町青津本丁71
連絡先 管理者 斎藤宣詔(さいとうのぶあき)氏 / 電話:0242-83-1936
文化財 木造薬師如来坐像〈/(薬師堂安置)〉/平安
拝 観 仏像の拝観は4月か11月の9時から16時。要事前連絡。志納。
備 考 通称 上宇内薬師(かみうないやくし)。会津五薬師。

法用寺(ほうようじ)

所在地 〒969-6274 福島県大沼郡会津美里町雀林三番山下3554
連絡先 福泉寺 / 電話:0242-54-6090
文化財 木造金剛力士立像/平安
拝 観 仏像拝観は要事前連絡(志納)
備 考 阿形は鶴ヶ城天守閣内に安置されている。

法幢寺(ほうどうじ)

所在地 〒969-6262 福島県大沼郡会津美里町字法憧寺南甲3499-1
連絡先 法幢寺 / 電話:0242-54-3140
文化財 銅造阿弥陀如来及両脇侍立像/鎌倉
拝 観 仏像の拝観は9時から17時。要事前連絡。志納。
公式サイト:廣田山 無量院 法憧寺
備 考 通称 会津の善光寺さま。

福島エリア

 福島エリアの大蔵寺は千手観音だけでなく、破損は激しいながらも計28体もの古仏が伝わっていますので、ぜひともおさえておきたいお寺です。また、国指定の文化財とはなっていませんが、日本三大不動尊のひとつ(沢山ある)にも数えられる中野不動尊も忘れないでお参りしたいところですね。
 ちなみ、日本三大不動尊でいえば、新潟県新発田市の菅谷寺(かんこくじ)もそのひとつ(沢山ある)に数えられています。

大蔵寺(だいぞうじ)

所在地 〒960-8142 福島県福島市小倉寺字拾石7
連絡先 大蔵寺 / 電話:024-523-5215
文化財 木造千手観音立像/平安
拝 観 9時から16時。拝観料 収蔵庫500円。
備 考 通称 小倉寺観音(おぐらじかんのん)。

陽泉寺(ようせんじ)

所在地 〒960-1106 福島県福島市下鳥渡寺東17
連絡先 陽泉寺 / 電話:024-593-3141
文化財 木造釈迦如来坐像/南北朝
拝 観 9時から16時(受付は15時30分まで)。拝観料200円。
備 考

いわきエリア

 いわきエリアはなんといっても いわき東の緒方くん 先日、全館営業を再開したスパリゾートハワイアンズ。以前勤めていた会社の社員旅行で訪れたことがあるのですが、朝食時に調子にのった若手男子社員がムームー(女性用館内着)を着て現れたので、殴ってやろうかと思いました。
 こちらは、営業再開を記念して3月19日までは入場料が半額となっているようです。

 このエリアでは国宝の白水阿弥陀堂をかまえる願成寺。こちらの阿弥陀如来は現在、震災後、重要文化財指定されている仏像としては初の修復が行われています。仏像修復師さんのお話などを聞くと、歴史文化財の保護や修復はなかなか進んでいないようですので、これを皮切りにどんどん保護と修復の活動が活発になると嬉しいですね。

願成寺(がんじょうじ)

所在地 〒973-8405 福島県いわき市内郷白水町広畑219
連絡先 願成寺 / 電話:0246-26-7008
文化財 木造阿弥陀如来及両脇侍坐像〈/(阿弥陀堂安置)〉/平安
木造持国天立像(寺伝広目天像)/平安
木造多聞天立像/平安
拝 観 4月~10月は8時半から16時、11月から3月は8時半から15時半(受付終了は15分まえ)。毎月第4水曜日休み。拝観料400円。
備 考 阿弥陀堂は白水阿弥陀堂(しらみずあみだどう)と呼ばれ、国宝。
平成24年1月中旬から平成24年7月ごろまで、東日本大震災に伴う仏像緊急修理事業と国宝白水阿弥陀堂保存修理事業のため、拝観不可。
時事ドットコム:被災の仏像、修復の旅へ=国重文で初、住職「ほっとした」-福島
公式サイト:国宝 白水阿弥陀堂

長隆寺(ちょうりゅうじ)

所在地 〒979-0214 福島県いわき市四倉町長友大宮作218
連絡先 長隆寺 / 電話:0246-33-2510
文化財 木造地蔵菩薩立像〈/(地蔵堂安置)〉/鎌倉
拝 観 要事前連絡(志納)
備 考

能満寺(のうまんじ)

〒972-8316 福島県いわき市常磐西郷町忠多385
連絡先 能満寺 / 電話:0246-42-2995
文化財 木心乾漆虚空蔵菩薩坐像/奈良
拝 観 毎年4月の例大祭(能満寺虚空蔵参り)の日のみ仏像の拝観可能。
備 考

薬王寺(やくおうじ)

所在地 〒979-0224 福島県いわき市四倉町薬王寺塙73
連絡先 薬王寺 / 電話:0246-33-2166
文化財 木造文殊菩薩騎獅像/鎌倉
拝 観 9時から16時。拝観料200円。
備 考

震災と仏像を考える

 先日、仏像修復師の飯泉太子宗さんが出版された『時をこえる仏像』という本を読んだのですが、その中で次のようなことが書かれていました。
(*私が要約してメモったものなので、原文ママではないです)

 仏像が時代を超えて残っているのは実に奇跡的なことで、天災はもとより盗難や火災などの人災もあり、現代まで残ってきた仏像以上に、多くの仏像が無くなっているのだろう。
 天災や人災がありつつも現代に古い仏像が残っているのは、残したいと思った人がいるためで、壊れたので新しい仏像をつくろうと昔の人が考えていたら、こうはならなかったはずだ。仏像は各時代にその像を残そうとする人がおり、そういった人の想いの連鎖があって初めて今、現代にまで残っているのだ。

 今回の福島の放射能の問題で、多くの人が福島から避難することになると、やっていけなくなる寺院も多いことだろうし、それが過疎地であればなおさらのこと。仏像は壊れれば修理できる。津波で流されたらあきらめるほかないが、新しい像をお祀りすれば、そこから新しい歴史をつむぐことができる。しかし、集落そのもの、守っていく人そのものが消えたらどうなるであろうか。 仏像の存在意義を考えてみると、信仰の対象という以外にも地域の歴史シンボルであるという意味がある。その地域・集落の歴史の一端を象徴しているのが仏像だ。人がいなくなるということは、その地域の歴史が終わるということでもあるのだ。たとえ、仏像や他の文化財が残ったところで、人がいなければそこにどんな意味があるのだろうか。
 明治以降、北海道に集団入植するときに、村によっては集落の仏像を持っていったという例もあるという。海外への集団移住も同様。新しい土地に行っても、仏像を通じて過去との接点、歴史、あるいは自分たちのアイデンティティーを求めていることがわかる。

 今回の震災はひどいものだったが、それでも人がいれば、そこからさらに歴史をつむげると信じたい。

 明治時代の日本で、近代的文化財保護の思想を作り上げた岡倉天心はこう言ったそうです。
 「歴史を勉強しないものは滅びる。ただし後ろを向いていてはダメだ。」

 私自身はさほど信仰心が厚いほうではありませんが、田舎のお寺を巡っていると、「この仏像は地域の人からとっても愛されてるんだな」と感じることがよくあります。
 今現在だけでなく、自分の親やおじいさんおばあさん、さらにはその前のご先祖さんの時代からその地域を見守ってきた仏像を、リレーのバトンとして次の世代に繋いでいく。 自分もそのバトンに、少しでもタッチできたらいいなと思います。

 …ところでいわき東高校の緒方くんですが、炭鉱の廃坑によってこの夏の甲子園決勝終了後に、チームのメンバーはそれぞれ離れ離れになることが決まっており(略)

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  • 販売元:東映ビデオ ( 2007/09/21 )
  • カテゴリ:DVD

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