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新潟は豪華ってホント? – 大晦日の晩餐2009

 てっきり、大晦日の夕食というものは豪華なものだと思っていたのですが、聞いた話によると、これは新潟特有のもので、他から見ると特殊だとか特殊じゃないとか。でも、新潟県内でも地域によって違うとか違わないとか。
 というわけで、昨年の大晦日当日に皆さんに協力をお願いした「大晦日の晩餐」プロジェクトの結果発表!(プロジェクト名が変わってる?きっと気のせい!)

 突然の募集にも関わらず、写真を撮って送って下さった皆様、本当にありがとうございました!結果的に長岡、三条、上越、そして、秋田県の4地域、全部で7枚の大晦日の夕食の写真が集まりました(icoro2人分も含む)。

大晦日の晩餐の写真

 というわけで、頂いた写真を地域ごとに見ていきたいと思います。

長岡地域

 まずはicoroのホームでもある長岡市から。(順番は投稿が早いもの順。)

大晦日の晩餐2009 - shiia
“いなり寿司と手巻き寿司、唐揚げ、鮭、昆布巻き・きんとん等のおせち”
提供: shiia@新潟県長岡市
大晦日の晩餐 - jinpoko
“年取り魚と刺身や伊達巻きなどの正月料理”
提供: jinpoko@新潟県長岡市, http://f.hatena.ne.jp/twitter2/20091231175930

 ついでにicoroの2人も。

大晦日の晩餐2009 - yutaka
“手巻きずし、オードブル(鮭あり)、のっぺ等”
yutaka@新潟県長岡市
大晦日の晩餐2009 - chihaya
“手巻きずし、黒豆、山菜等(締めに年越しそば)”
chihaya@新潟県長岡市

 こうしてみると、長岡では大晦日の夕食が豪華である傾向があるようです。またこれらの写真からいずれも、以下のどちらか、または両方を満たしている事が分かります。

  • 鮭がある
  • 普段の食事よりも豪華

 手巻き寿司率が高いのは、この時期にお店に行くと手巻き寿司セットが多く販売されているせいもあるかもしれません。
 ということは、店側は豪華になる傾向が分かっているわけで、もしかしたら、全国にスーパーの支店を持っているような会社であれば、地域ごとの細かい傾向が出せるのかもしれませんねぇ。

三条市

大晦日の晩餐2009 - yutacar
提供: yutacar@新潟県三条市

 カニきたー!これだけで十分典型的豪華な夕食です。そして、やはり焼き鮭がありますね。

 このように、大晦日に食べる魚のことを「年取り魚(としとりざかな?)」と言うそうです。この年取り魚、東日本と西日本では対象となる魚が異なります。

 最初の投稿者は中部地方出身で、「年取り魚」はサケ。父親は、関西地方の出身で、その実家ではブリ。大学の文化史でも「年取り魚は、東はサケで西はブリ」と習った。
[発言小町@新聞]大みそかの「年取り魚」って? : ミックスニュース : 大手小町 : YOMIURI ONLINE(読売新聞)

 学校でも習うような基本的な事なんですね。。これは今度、図書館で調べてみたいと思います。

 こうして見ていくと、「年取り魚を食べる」事と「食事が豪華である」事は、必ずしも一致はしなくても、なにか相関はありそうです。というか、そもそも「鮭」という食材自体がかつては特別なものだったのかも。

上越市

大晦日の晩餐2009 - fumikoh
“のっぺ、ブリとタコの刺身、紅白なます、はりはり漬け等”
提供: fumikoh@新潟県上越市

 長岡、三条の豪華な晩餐とは打って変わって、上越では質素な印象の夕食。基本的には縁起物で固めたメニューになっています。見た目は質素でも、内容はいつもの夕食とは異なるようですね。
 写真提供者のフミコーさんによると「個人的には出世魚であるブリは外せない」とのことです。ブリを食べるというのは、偶然かそれとも育った文化圏が関係しているのか、関西で食べられるという年取り魚と同じです。
 前から上越は下越・中越とは文化圏がちょっと違うような気がしていたのですが、もしかしたら上越まで行くと関西圏の文化が入ってくるのかもしれませんね。

秋田県大仙地区

大晦日の晩餐 - civic
civic@秋田県大仙市

 写真をいただいた中では唯一、県外の情報。秋田でも大晦日の夕食は豪華なようです。焼き魚が写っているのですが、これはブリでしょうか。また、ここには写っていませんが、宴会の〆に暖かいそばを食べたそうです。(そばもいったのかー)

 この他にも関根がコーナーを埋めている「マイスキップ」の中の人からもメールを頂きました。そのメールによると、横浜の人では年越しそばだけというのが普通らしいです。一方で、小千谷の人は大晦日にすき焼きが出たとか。

まとめ

 以上、頂いた写真や情報をまとめると、少なくとも新潟、秋田では大晦日にご馳走を食べる地域があることが分かります。また、大晦日の夕食に関しては、以下の4つの要素が複合して存在している事が考えられます。

  1. 年越しそばを食べる
  2. おせちを食べる
  3. 年取りの魚を食べる
  4. 豪華な夕食を食べる

 お正月にご馳走を食べるのは東北圏だけかなぁ、と思ったのですが、ネットでいろいろ見ていたらこんな記述がありました。

北海道に限らず、青森や岩手の各県でも年取り(大晦日)料理はご馳走である。北陸、東海以西でも石川、岐阜、愛知、島根、山口、宮崎など、年越しにご馳走が食べられるところは多い。
北海道では大晦日からおせち料理を食べる

 うをー。東北だけでなく中国・九州の県名が出てきてるし…頭の中の日本地図の色分けがマダラになりつつある。。

 上記のページでは大晦日のご馳走と太陰暦との関係を示唆していますが、これ、もっと簡単に言えば「田舎ほどご馳走を食べる風習が残っている」と言うことなのではないかと思います。
 つまり、江戸や京都、大阪などの大都市圏には年越しにご馳走を食べる風習がなく、逆に田舎ほどご馳走を食べる風習が残っているということではないでしょうか。

 今まで「あんだけ夕食食って、その上さらに年越しそば食うとかどんだけ」と思っていたのですが、年越しそばを食べる風習が生まれた地域ではそもそも夕飯に年越しそばを食べているのだと思われます。その風習がご馳走文化に行った結果、

 「年越しそばも食べなきゃ!でもお腹いっぱいだから二年参りの帰りで良いんじゃない?!」(基本、大晦日はみんなちょっとテンション上がっている。)

という感じになっているのかもしれませんねぇ。ご馳走文化からすれば、年越しそばなど料理が一品増えるくらいの認識で加えられます。なんだか、クリスマスも正月も何でも受け入れてしまう日本人らしくて、良いと思います。

 そういえば、方言圏は京都を中心に同心円状に広がっているという話(方言周圏論)を聞いたことがあるのですが、もしかして、ご馳走を食べる風習もこれと関係してる?そうであれば、東北と九州に同じ風習が存在していることも納得出来る気がします。これは意外と奥が深いのかも。。
 ところで、方言周圏論で考えるなら、日本の場合、途中で文化の中心が京都から東京へ移動しているので、2つの同心円が存在する可能性と、その2つの同心円の強弱を加味して考える必要があるのではないかと思ったりしました。

 また、上記の北海道のページには、太陰暦では大晦日の夜は1年の始まりだから正月にご馳走を食べるのと同じ、ともありましたが、極個人的な感覚を言わせてもらうと、大晦日にご馳走を食べるのは「終わりよければ全てよし」とか「大団円」とか「紅白の小林幸子」とかいう感じに近いですねぇ。この辺は、時代と共に人の意識が変化しているというのもあると思います。

 この企画、今年の大晦日にもやりたいと思うので、皆様、出来たらまたご協力お願いします!豪華な夕食はもちろん、「夕食は年越しそばだけですがなにか?」という写真もあると非常に参考になります。
 自分も次回までに本を読んだりしてちょっと勉強しておきたいと思います。

蝸牛考 (岩波文庫 青 138-7)

  • メーカー:岩波書店
  • カテゴリ:文庫

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