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横隔膜ヘルニア(横隔膜欠損症)だったうちの猫の闘病記

ネムさん成長記
手術後、レントゲンで作られたカラーを付けている図。おなかにはガーゼとネット、前足には点滴後のガーゼが巻いてあります。

 我が家に猫がやって来て早5年。今は健康そのもののうちのネコですが、来た当初はものすごく小さく、そして呼吸が苦しそうで。動物病院に連れて行ったところ「横隔膜に穴が開いている」というまさかの診断。手術を受け、無事回復し今に至るという過去があるのです。
 ネットで情報を集めようとしてもあまり情報がなくて……と悩んだのを思い出し、当時の闘病の様子を思い出しつつ、治療の様子や症状などをつらつらと書いてみたいと思います!

横隔膜ヘルニア闘病記

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保護した翌日に撮影。この時、生後4ヶ月で体重600g。ガリガリです。

出会い

 我が家の周辺には野良猫が多いのですが、夏の初め頃から子猫を連れた母猫一家を見かけるように。4匹いた子猫はみんな母親に似て白黒ネコ。子猫かわいー! と見かける度に思ってました。
 それからしばらく経ったある夏の暑い日の夜のこと。母が仕事から帰ってくると、うちの前で子猫が座り込んでいるのを発見。逃げない。というか動けないっぽい。ということで一時保護という形で家の中に入れることに。まぁその後はありがちな展開でそのまま飼うことになったわけです。

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子猫なのにじゃれない

 保護した直後はさすがに弱っている様子でしたが、その日の夜には水も飲み、エサも食べて元気に。でも紐などを見せてもじゃれないのです。まぁこんなもんかなぁ? と思ったのですが、刺激に対して反応が薄いような。もしかして耳が聞こえてない? 等、疑いはじめました。

3日目の夜、息が苦しそうに

 我が家に来て3日目の夜。子猫の様子が今まで以上に違う。具体的には以下のような感じ。

  • あまり動かない
  • ごはんをあまり食べない
  • 呼吸が浅くて速い、苦しそう
  • 気道を確保するように上を向いて息をする

 これはおかしいということで、翌朝、動物病院に連れて行くことにしました。この他、振り返ってみると普通の猫と違う点や横隔膜欠損が影響していると思われる症状がいくつかありました。

  • おもちゃを見ても反応が薄い・ない
  • 眠っている時間・じっとしている時間がやけに多い
  • 痩せていてガリガリとはいえ、おなかの部分が細すぎる
  • 歩き方が不自然、お尻が軽そうに歩く
  • 食後に具合が悪くなる(食べたものが肺を圧迫していたため)

 尿や便は普通に排泄してました。あとで知ることになりますが、この時まで腸がちゃんと機能してたのって何気にすごい。

病院での診断

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 ちょうど隣町に新しく動物病院ができたと聞いていたので、そこへ連れて行くことに。今でもワクチン接種はこちらの病院にお世話になっています。

「先日拾った猫がなんだか苦しそうで……」と伝えるとすぐに診察開始。おなかを触った先生から驚愕の言葉が。「この子、内臓が全然ない。」はい?

 レントゲン撮影をしてみたところ、胸と腹を隔てている横隔膜に穴が空いており、肺の方に胃や腸などの消化器系の内臓が入り込んで呼吸器を圧迫、うまく息ができない状態になっていることがわかりました。レントゲンを見るとおなかの方には何もなく、肺の方に内臓が行ってしまっているのがわかります。耳が聞こえないのではなく、反応できない状態だったらしいです。

 「手術すれば治療は可能、でもお金はかなりかかります。安楽死も選べます。」と先生。即答できる金額ではなかったので(稼ぎがなくてお恥ずかしい)迷っていると「3日間、美味しいものを食べられて安心して眠れた。それだけでもこの子は幸せだったと思うよ。家族と相談してみて、どの結果になってもまた明日おいで。」と優しく声をかけてくれました。

 そして翌朝。息はまだ苦しそうながら、誰よりも早く起きてにゃーん(たぶん腹へったー)と鳴く姿が。よし! 病院に行こう!

隣町の動物病院から大きな動物病院へ移り、手術に

 「手術します!」と先生に伝えると「昨日のうちに話を通しておいたから!」と、手術用の設備と酸素室のある大きな動物病院を紹介してもらいました。そちらの病院に着くと「お話は伺ってます」とすぐに診察。「午後からすぐに手術しましょう」となりました。なんという手際の良さ。(あとで聞いた話しによると、一刻を争う状況だったらしいです。)

 手術は全身麻酔の開腹手術で、肺の方に行ってしまっている消化器系を元の位置に戻し、横隔膜の穴は親和性の高い素材で塞ぐという内容。ただ現状かなり衰弱していること、開腹してみないと癒着があるかがわからない(外傷性横隔膜ヘルニアで時間が経っている場合、癒着範囲が広く手術が困難な場合があること)等を説明され、手術中に万が一のこともあるという説明を受けました。

無事に手術完了!

 この日の夕方に一応無事に手術は完了。会いに来ても良いですよと言われたので会いに行ってきました。

 小さな酸素室(透明なコインロッカーみたいな感じ)に入り、おなかに包帯を巻かれ点滴をされて眠っているうちの猫が。痛々しい;;と思っていると、先生が「麻酔から覚めたらすぐに元気で、さっきちょっとご飯あげたんだけど足りなかったみたいで。こんなによく食べる子も珍しいよー」と、褒め言葉(?)を頂きました。なんかちょっと恥ずかしいぞ。。
 手術前の血液検査では脱水症状のためほとんど血液が採れないような状態だったそうです。やはりギリギリだった様子。

 そして「開腹した時の写真があるんですけど、見ます?」という驚くべき発言が。見ちゃっていいんですか!? 是非! と見せてもらいました。「これが横隔膜の穴で、肺の方に腸まで行っちゃってましたねー」と、デジカメの写真を指さしながら説明。ぽっかりと空いた穴に内臓がー。内臓ってそれぞれ異なる色してるんだなぁ、けっこうきれいな色だなーとか思ったりしました。メスで切った所はガッと広げられているものの、血は一切見えなかったので生々しくなかったです。「癒着は全くなかったからたぶん先天的なものでしょうね」という説明も受けました。

 こうして無事に手術は完了。まだ完全に安心はできないけども、手術は乗り切れたので大丈夫でしょうと言われちょっと安心。「数日は酸素室で過ごしてもらうのでしばらく入院して様子を見ましょう」となりました。

1週間後、ついに退院!

 そして1週間、ついに退院の日!

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レントゲン写真をリサイクルしたエリザベスカラーには正直驚きました。

 入院中に何回かお見舞い(?)に行き、その都度現在の病状や様子を聞かせてもらい、一週間後、ついに退院の日を迎えました! 先生方、スタッフの方みんなに見送られての退院! 本当にお世話になりました!

治療費

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帰ってきたらすぐ散策開始。1週間でけっこう成長した気がする。

 さてさて気になる手術・入院費用ですが……ざっくり言うと20万円以下でした。酸素室利用代がけっこう占めていた印象。でもかなり割引きして下さった印象です。本当にありがたい。他の病院の情報を見ると酸素室に入ってこの金額は安いように思います。

術後の抜糸

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抜糸も終わってカラーが外れました。まだおなかの毛がなく、手術後の跡がはっきり見える頃の貴重な一枚。手術から2週間後の写真です。

 その後は1回通院し、レントゲンを撮って横隔膜と移動させた内臓に問題がないかを確認。しっかり機能していました。
 10日後の抜糸は、最初に行った隣町の動物病院でしてもらうことに。近くで済むようにしてもらえてありがたかったです。

 開腹手術で切った傷口は10センチくらい。胸からおなかにかけてかなり大きく切られています。

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手術から3週間後。おなかにうっすら毛が生えてきた頃。全体の毛並みも良くなってきました! そして自分のかわいさに気付き始めたんじゃないかと思われる表情です。

 栄養不足だったため、耳や鼻の先の毛が上手く生え変わらず、しばらーく汚い色をしてました。

その後

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手術と点滴のために剃ったおなかと前足の毛がまだない頃。

 拾った当初はごはんが食べられなかったため栄養状態が悪く、生後4ヶ月で体重は600g。生後2ヶ月くらいの体重しかありませんでした。あまりの軽さから最初は生後3ヶ月と言われたほど。その後、歯の生え方から生後4ヶ月に訂正されました。

 先生からも「小柄な子になるかもだけど、元気ならいいじゃない!」と励まされました。大きい猫を飼うのが夢でしたが、ちっちゃい猫もかわいいですもんね。

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8ヶ月後。おなかの毛も生えました。縫った跡も全くわからないです。なによりでかい……

 が。その後驚異的な成長を見せ、1年後には体重5キロを超える大柄の猫に! 全然小柄じゃないよ! しかもよく食べるからダイエット食に切り替えたよ! 今まで食べられなかった分を食べているのか……

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手術後は普通のネコと全く変わらない健康体です。手術後1年くらいは呼吸が速かったり、ちょっと気になることがあるとすぐ病院に行き診てもらってましたが問題はなし。下痢などしたこともなく、普通のネコ以上に健康です。
 ただ時々、眠りにつく時にびくん! となって飛び出したりすることが有り。横隔膜の影響なのか、はたまた寝る瞬間に落下するあの感覚に襲われているのかは謎です。

まとめ

意外と多い猫の後天性(外傷性)の横隔膜ヘルニア

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 開腹手術の結果、うちの猫は先天的(生まれつき)横隔膜に穴が開いていたわけですが、猫は横隔膜が弱く、後天的・外傷によって穴が開いてしまうことがけっこうあるそうです。多いのは交通事故によるもの。車にぶつかったりして腹部に強い力がかかると破れてしまうのだそうです。その他、高い所から飛び降りたり、なにかに驚いて飛び上がり腹圧がかかり過ぎた場合や、人に蹴り上げられたりするのも原因になることがあるとか。

 外出して帰ってきた猫の呼吸がおかしい場合は、横隔膜のダメージを疑った方がいいかもしれません。いずれにせよ、ちょっと様子がおかしいと思ったらすぐに動物病院へ! 気付かずに放置、癒着してしまうと取り返しの付かないことになります。

猫を飼おうと思ったらまずは動物病院で健康診断を!

 今回の一件で思ったのは、猫を拾ってちょっとでも「飼おうかな?」と思ったらまずは動物病院へ! ということ。すぐに病院に連れて行っていれば苦しい思いをさせなくて済んだのになーと反省しました。「猫を拾ったんで飼おうと思うんですけど」と言えば健康診断(寄生虫の検査や感染症にかかっていないか等のチェック)をしてもらえます。かかりつけの病院も作れたりといいことづくめです。

最後に:その後、5年間元気です!

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 当時ブログ等を検索すると「残念ながら虹の橋の向こうにいきました;;」みたいな情報が多く凹んだものです……こんなに元気になった例もあるよ! ということで!

 そして今回まとめるにあたり横隔膜ヘルニアを検索してみたところ「横隔膜ヘルニア 寿命」という検索候補が。うちの猫は先日5歳を迎えました! 病院に行くのは年1回のワクチン接種の時くらい。手術の時は大変でしたが、その後は健康そのものですよ!

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